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6.ピンチ?です。


膝の裏と背中で持ち上げられて、相手の顔が目の前にある体勢なーんだっ?わからない皆には特別ヒント!自分の手は相手の首にまわってるよ!

………はい、現実逃避入りました。

でも、何で姫抱っこ状態で猛スピード輸送受けなきゃなんねぇーんだよ!!


森の奥でマーガス・セイルに発見され、とっさに出た言葉は「お、お花摘みの帰りに迷ってしまって」だった。

いや、反省はしてる。どこに迷って10キロも森に入るバカが居るんだよ、という突っ込みは受けざるを得ない。でも、だからといってどうすれば良かったのか。

セイルの野郎は明らかに疑問符出す感じに首傾げたまま動かねえし、こっちは訓練見られてないって確証はねえし、野営地から10キロも離れた場所じゃ誰かか来る望みもねぇし。ないない尽くしで何とかひねり出した言い訳が便所だった。


それを聞いたセイルの行動は、あたしの手を掴んで、自分の肩に誘導して、膝をさっといつの間にか掬って、気がついたら姫抱っこが完成してました。

そんで、あたしを抱えたまま野営地の方向にレッツゴー♪


……………何故だか時間がとっても長く感じます。




ん?

ほんとにどんだけ掛かってんの?


いくら体感で長くったって、とっくに着いてておかしくないのに。

上を見上げれば、すぐ傍にやけにキレーな顔。こいつが迷うワケ無いよな。………ってことは?



「おぃ………じゃない。あの、セイル様。どこに向かっているのですか?」


「……………。」



だんまりか。といっても、こいつが喋ってるの見たことないけど。

降ろせの意を伝えるために、ちょっと?もがいてみた。いくらなんでもこいつが落とすなんてあり得ない……はず………。

なんで落ちてってんだ!?

あり得ないことに、セイルは手を離しやがった。しかも、木の上で。

予想だにしないセイルの行動で完全に思考は停止。仕込まれた反射が出てきやがりました!


脳天直撃コースを避けるために軽く空中で1回転しての着地。ノーダメで済んだのを確認してホッと一息………吐く前に固まった。

ヤバい。セイルが居んの忘れてた。


そろそろと上を見上げるとやっぱガン見。

見てるよ。超こっち見てるよ。

こういうときはとりあえずあれだよね。




逃げた。割と全力疾走で。

しばらく走ってると、人の気配がした。近くまで着いたらしい。そこから歩いていくと、数分で野営地に出た。

あ、アンナさんがこっちきた。



「ジーナちゃん、どこ行ってたの?探したんだよ!」



心配かけてしまったらしい。申し訳ないかも。



「すみません。ちょっと迷ってしまって」



さっきとは違い、この言葉はすんなり信じてもらえたらしい。

気をつけてねーと笑うアンナさんとほのぼのな一時を過ごしていると、後ろの森からガサゴソと音がして、セイルが出てきた。

セイルはあたしの前に立ち、じっと見下ろしてくる。


ヤバい。1回目合わせたら視線外せない。なんでかって?負けた感じするじゃん。


このままガン飛ばしあっても埒があかないので話しかけてみる。モチロン、ガン飛ばしつつ。



「あの………どうかいたしましたか?」



あれ?ちょっと眉が寄った。はぐらかすなってこと?

でも、コッチとしてはそうもいかない。



「何か御用でも?」



うっ………。

多分喋んないだろうし、煙に巻けるだろうと思ったけど、案外しつこい。内心汗だくでにらみ合いを継続する事になった。






前触れなく、セイルが口の端を上げた。ちょうど、ニヤッという感じの笑みだ。

何となく、背筋が冷えた。


セイルはそのまま背を向けて去って行った。

追いかけて、不気味な笑いの意味を問いただしたいとこだけど、急に咳き込み始めたアンナさんの方を優先した。



「大丈夫ですか?」


「ゴホッゴホッ……………うん、平気。ジーナちゃんは平気?」



何のことだろう?

内心首を傾げていると、何にもないならいいとアンナさんが言った。なんだかんだで結構時間も経って、騎士団の面々も討伐に出るらしく、慌ただしい空気が漂っている。



「そういえば、此処にはどのくらい残るんですか?」


食糧を狙ってくる魔物が居るかもしんないし、無人はないでしょ。最低でも20は欲しいけど………。



「え?私たち2人だよ?」



はぁ!?

魔物が来たらどうすんの?荷物とあたしたちは捨て駒にする気か?




『行くぞー!列を乱すなー!』



遠くで隊長のデカい声が聞こえた。

拠点に残ってる気配は0。

本当に全員出払ったらしい。




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