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3.一番じゃなかったです。


朝食の片付けが終わると、アンナさんに部屋に戻って着替えるように言われた。


………何で?







∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵









オンナノコらしい可愛い服なんて持っていなかったあたしは、普段の仕事着からできるだけ女の子っぽい物を選んで着ていくことにした。メイドなんて女子率100パーセントな仕事をしている人達の中に放り込まれる訳だから、相当浮くことを覚悟して行ったんだけど・・・・・・。


まあ、結果から言ってしまえば、フツーに杞憂だった。皆さん、さすがにあたしより女子力高そうな格好だけど、そこそこ似たり寄ったりな服装だった。ポカンなあたしに近寄ってきたのはアンナさんとジェナさん。ジェナさんは、さっきあたしに助け船を出してくれたクールビューティーなお姉さんだ。


「良かったぁ。わたし、さっき動きやすい服装で、って言い忘れちゃって。ごめんね?」

あたしの手を握りながら上目づかいで見上げてくるアンナさん。くそぅ、かわいいってズルい。ま、結果的に実害を被った訳でもないので、特には気にしてない。


「ところで、こんな格好で集合って、これから何があるんですか?」

「基礎体力訓練があるのよ。これさえ無くなればうちの人数ももっと増えるのに」

「………………。そんなにキツいんですか?」

「………ま、まあ、すぐに慣れるよ!」


アンナさんキョドってる。………不安だ。

そんなあたしの心情を察したのか、アンナさんは不自然に話題を変えた。


「そういえば!今日は珍しくセイル様が来てたね」

「確か半年振りだったわね、遅れずに食堂に来るの」

「セイル様って誰ですか?」

「黒騎士団副隊長のマーガス・セイル様のことよ」

「気付かなかった?最後に来た桃色の髪の方だよ。この国じゃセイル様の桃色とか、ジーナちゃんの黒は珍しいから」


あれで副隊長?隊長だと思ってた。というか、あれより凄いのが居るんなら、成功する見込みが大分薄くなってしまう。でも、それならこの国はもっと国力を伸ばしてもいいはず。どうなってるんだろうか。

考え込んでる間に騎士の人が来た。というか、さっき見た赤髪だ。ジェナさんがあたしに教えてくれた。あれが黒騎士団の隊長らしいけど、副隊長より弱いのはどういうことだろうか。

新入りということで、とりあえず挨拶しておくことにした。忘れちゃ駄目、挨拶は大事!

「はじめまして。今日から働くことになった下級メイドの、ジーナ・マドレと申します」

教習で教わった45゜のお辞儀も完璧。これで、あたしが隊長の印象に残ることはないはず。そこそこ出来が良い方が、人間案外印象に残らないもんだ。

………と、思ったが快活に笑ってる赤髪から返ってきたのは、思いもよらない言葉だった。


「もしかして、今日の朝の騒動はお前か?」

……………ヤバい、忘れてた。

そういえば、あたしついつい大声出したりしてたよ。これ、マズいよね。がっつり覚えられる感じだよね。どうやって誤魔化すか、いや、下手に誤魔化すより上手く認めたほうが怪しまれないか。


「はい。昔から、大声を出すことだけは誰にも負けませんでしたので」

「にしても、あのマーガスまで起こせるなんて。まあ、これからよろしく、ジーナ嬢」


はい、これは完全に名前覚えられましたー!何でこうも上手くいかないんだよ。まあ、注目されてる方向性は違うってゆうのが唯一の救いだけど。


「よろしくお願い致します」

「じゃあ早速、手始めに訓練場50周行ってこい」

「はい」


手始めってことだし、1時間も掛ければ丁度いいくらいなはず。あたしは、とりあえずゆっくりと与えられた課題を消化することにした。





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