昇らぬ太陽
ルーナが捕らえられた後、スカイは急いで自国に戻り軍を率いて戻ってきた。
ソレイユの悪政に困っていた国民たちもマーレ国に手を貸した。城の兵や家臣たちはほとんどソレイユに処刑されておりろくに役にはたたず、忠誠心も無くなっていたためにすぐに逃げだした。
「ソレイユ様、私はあなたが悪政をしいていることを商人たちからの連絡で知っていました。ですが、若くして女王にならなけらばならなかったためだろうと思い、交流を深めながら私が政治について教えていこうと考えこの国にやって来たのです」
スカイは城の中、玉座の間に唯一人残されているにも関わらずなおも毅然とした姿で微笑んでいる美しいソレイユの目の前に立ちそう言った。
「でも、あなたは今、私の目の前に兵と共に立っておりますわ」
ソレイユは静かに答えました。
「えぇ、そうです。ですがあなたの悪逆さを直接この目で見て、政治を教えたとしてもあなたの悪逆さはどうにもならないと分かったのです」
「そうですか」
ソレイユは微笑を少し寂しげなものに変えてそう答えた。
「ルーナ様は牢におられませんでしたがどうされたのですか?」
「処刑しました」
ソレイユは微笑を一瞬で消し去り無表情にそう一言答えただけだった。
「あなたはなんとひどい人なんだ!ルーナ様はあれほど一生懸命あなたに仕えていたというのに!」
スカイの瞳は一瞬にして怒りの色で染まった。
「この者を捕らえなさい」
スカイは聞くものが震え上がりそうなほど冷たい声でそう言って一度もふり返ることなく去って行った。
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ソレイユの処刑の日がやって来た。処刑はソレイユの最後の望みをスカイが特別にかなえて満月の夜となった。月明かりで照らされているとはいえ、暗いにも関わらず全ての国民が集まりソレイユに罵りの言葉を叫んだ。
ソレイユはそんな国民の声をまるで聞こえていない様な様子で寂しげに微笑みながら月を見上げ、
「あぁルーナ、あなたが淹れた紅茶が飲みたいわ」
そう一言つぶやいたのだった。