残酷な女王
絢爛豪華な調度品が置いてある部屋の中央に一際素晴らしい椅子が置かれている。その椅子には、美しい女性が座っています。女性は赤と金を基調にした華やかなドレスを身にまとい、赤みがかった輝くような金髪の上には輝かしいばかりの王冠、長いまつげの下には最高級の黄玉にも引けをとらない色彩の瞳、その姿は太陽の女神だと言われても信じられそうでした。
「まだまだ足りないわ。もっと大きな宝石を持ってきなさい。新しいドレスも欲しいわ。お菓子も食べたことのないものをまた見つけてきなさい」
女性はそう言い放ちました。
「お言葉ですが女王様、このまま湯水のようにお金を使っていけばすぐにでも国庫が底をついてしまいます。そうなれば国は成り立たなくなります」
女王の前に跪いている男性はキッパリとそう答えました。
「お金が無くなったら国民から集めればいいだけの話でしょう?」
女王は実に不思議そうにそう聞きました。
「もうすでに税金はかなりの額となっております。これ以上金額を上げれば国民の生活が成り立たなくなります」
「何を言っているの大臣?国民は税金を納めているから私の国に特別に住まわせてあげているのよ。それなのに、生活が成り立たないから金額を上げることができないなんて馬鹿なことを言わないで」
女王は笑いながらそう言いました。
「生活が成り立たないような事になれば、国民はきっと暴動を起こします」
大臣は驚き、そう答えました。
「私に逆らうようなら死刑にすればいいだけよ。簡単な事じゃない」
女王は当たり前の様にそう言いました。
「なっ、なんという事を仰るのですか。お願いします女王様。これ以上国民を苦しめるようなことは御止めください」
「黙りなさい。私はこの国の女王よ。国民が私のために働くのは当然のことなのよ」
女王はさっきまでの笑顔を一変させ、不愉快そうな顔で大臣に向かってそう言い放ちました。
「無理です、女王様。もうこれ以上無駄にお金を使うことはできません」
大臣は悲痛な面持ちで女王にそう訴えました。ですが女王は不愉快そうな顔のまま立ち上がり、
「私が欲しい物を買う事が無駄だと言うなんて!もういいわ大臣、私の命令に従えないと言うのなら、お前も死刑にするまでよ!」
そう言って、女王は衛兵を呼び大臣を捕らえさせました。
女王は衛兵たちが大臣を連れて行くのを見送った後、優雅な足取りでベランダに出て城下を見下ろします。
「この国は全て私の物よ。さぁ、国民よ跪き私に全てを捧げなさい」
女王はそう言って、高らかに笑ったのでした。