第七話:音楽室の被害者
女生徒が去った後、三人は音楽室で大人しく待っていた。
特に待ちたいわけではなかったが、あの女生徒の持つ
「何か」
がそうさせた。
「ヒマだ〜。」
「あの人誰だったんだろう。」
「わからない。」
三人で思い思い言葉を出してもつまらない。
もう帰ろうかと思った時、
ピロン ポロン
ピアノの音が聞こえた。
三人が驚いてピアノを見た。
しかしピアノは鳴ってない。
ただふたが開いているだけだ。
(気のせいかな…)
三人同時に思った。
「帰る?」
坂城がそう提案した。
二人も同じ事を思っていたので、素直にうなづいた。
三人が立ち上がると、
ジャーーン
さっきより大きい音がした。
「!!」
ピアノを見てもやはり鳴ってはいないようだ。
しかしそれにより一層恐怖を感じ、三人はお互いに近付いた。
「…ね、ふた閉めてから行こうよ。」
大木はビクビクしながら言う。
「そうだね。」
泉が答え、先陣を切るように歩きだす。
そしてふたに手を伸ばした特に泉は何か光るものを見つけた。
(あれ、何だろう?)
泉はそれを見ようと、ふたの間に首を突っ込んでみた。
そこには
(……顔?)
のようなものが見える。
泉は気味が悪くなり、首を抜こうとした。
するとその顔がニヤリと笑った。
バンッ
それと同時に
バキッ
という音がした。
すべてはあの顔が笑った次の瞬間だった。
残された二人には最初、何が起こったのかわからなかった。
ただただボーゼンと眺めていた。
泉の白い服から赤い液体が滴る。
ポタ
それが床に落ちた時にようやく二人は理解した。
――死んでいる。
急に落ちたピアノのふたにより、泉の首がもげたのだ。
ピアノの反対側では泉の首が転がっている。
顔は何が起きたか分からずになっている。
『キ、キ、キャアアァァァァ!!!!』
二人は音楽室を走り去った。
その時はすでに泉の服は鮮血で染まっていた。