第五話:模型の恐怖
この学校は生徒数こそ少ないが、理科室はしっかりしている。
ちゃんと実験用具は一通り揃っている。
危険なのはアルコールランプなど火を使う時だ。
木で作られている学校なので、たまーに燃えうつってしまう。
いつも燃え広がるギリギリの所で消化している。
そのため理科室はところどころコゲ跡がある。
「失礼しまーす……」
三人は控えめに理科室に入った。
しかし誰も声をかえさない。
当たり前だ。
中には誰もいないのだから。
「いない…みたい。」
「我妻くんもいないね。」
二人はとりあえず中に入った。
「どうしようか?」
「う〜ん。」
坂城はなんとなく理科準備室に入った。
もしかしたらここにいるかもしれないと思ったからだ。
「へぇ〜。理科準備室ってこんなのがあったんだ〜。」
坂城はいろいろと眺めた。
人骨の模型や、化石のレプリカ、人体模型なんかもある。
まさしく標準の理科室だ。
「うっわー、人体模型って気持ち悪〜い。」
しげしげと人体模型を見る坂城。
まぁ、そう言うのも無理はない。
人体模型というのは半分は人の外見、半分は血管や筋肉が見える。
真夜中に一人で見たら間違いなく逃げたくなる。
「?」
その時坂城は何かに気づいた。
「これ、誰かに似ているような……」
さらによく見る坂城。
「何やってるの?」
二人が坂城に近付いた。
「これ何かに似てると思わない?」
「……ぅ〜ん。」
三人は並んで人体模型を見た。
そして数秒後。
『あっ!』
三人同時にその何かに気づいた。
しかしそれをすぐには信じられなかった。
いや、信じたくなかった。
なぜならそれは
『…せ、先生?』
そう。
半分しか見えないが、この顔や体格が間違いなく彼女らの担任と一致する。
「……ヤット…キヅイタカ…」
その人体模型は急にしゃべりだした。
「ヒッ…」
三人は驚き、尻餅をつきそうになった。
「サァ、君タチモ私ノ元ヘクルンダ。授業ヲシヨウジャナイカ。」
かれてはいるものの、間違いなく担任の声だった。
人体模型はギョロリと三人を見据え、近付いた。
三人は二宮像以上の恐怖を感じて、逃げ出した。
「マチナサイ!」
人体模型は三人を追った。
「廊下ヲ走ルナ!」
そう言う担任の声をした人体模型は確かに走っていなかった。
歩いてはいたが、三人と同じスピードで追いかけていた。
「キャァァァァ!!」
どこに走っているかなど考えられずに三人は逃げた。




