表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/12

第十話:姿見えぬ

「大木……」


「…こっち…だよ……」


「さぁ……早く…」


「い、いや…いやあぁぁぁぁあぁぁ!!!!」


その光景は信じられないものである。

さっきまで二つだった壁のしみが、坂城を取り込み三つに増えた。

しかしそれが信じられないものであっても実際に大木の目の前で起きた。

それだけでも、大木の心に刻みこませるのは簡単だった。

大木は教室から飛び出し、走れる所まで走った。

一応目指す所はあった。

昇降口だ。

そこからなら出られる。

大木はそう確信して走った。

そして昇降口。

自分たちで閉めた扉。

それが……

ガタッガタッ

「あ、開かない!?」


カギも開けられないし、扉も開けない。

「どうして…どうして……」


大木はその場に泣きくずれた。

だが数分後、

(こんな事してたら私まで…!!)

大木はなんとか自分だけでも助かろうと思い、ほとんど気力だけで立ち上がった。

そしてよろよろと歩きながらあちこちの窓などを調べた。

しかしどの窓も開けられない。

カギは接着剤で固められたかのように動かない。

机やイスを使って割ろうとしてもビクともしない。

(なんとか……私だけでも……)

大木はその一心で歩いていた。

その時、

ヒタ  ヒタ

後ろから何かの音がする。

大木はすぐその音に気づいた。

ヒタ  ヒタ

(な…なに……?)

大木は立ち止まり、その音をよく聞いた。

ヒタ  ヒタ

(気のせいじゃない……)

そう確信すればするほど恐怖はつのっていく。

ヒタ  ヒタ

(な、なんなの?)

大木はその正体を確かめたくなり、ゆっくりゆっくり振り返った。

大木が見たものは

「――っ!!!!!!」



その瞬間、大木はこの世から消えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ