表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
独白  作者: 道草
1/5

とある侍女の独白

夏の日だった。

緑生い茂る山道を、私は徒歩で、あなたは栗毛の馬に乗っていた。木々に溶けてしまいそうな若草色の直垂が良く似合っていた。はにかむ顔、まだ馴染みきってない烏帽子が微笑ましい。


あなたが楽しげに私に話しかけると、声色はいつも通りでも、頬はひそかに緩む。綸子越しだからきっとバレてない。ああ、杖に結んだ鈴の音のように心が弾む。


だと言うのに、ごめんなさい。


どうか許してね。


ほんの僅かでも、幸せな夢を見れました。


目の前には粗末な衣を纏った輩。

後ろにはあなたがいる。


ならば取る道はひとつ。


馬の尻を杖で殴る。驚いた馬があなたを乗せて走り去ったのを見届けたら、次は私の番。


杖を抜けば煌めく白刃。


むせ返るような血の匂い。


どうかどうか、あなたが無事であるようにと。


どうか、泣かないでください。 


あなたと共にあれて、私は幸せだったのだから。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ