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えやみ様
「綺麗なモンだな」「こりゃあー 何色なんだ」「鱗みてぇな模様があるから青だろうよ」「いや、紫に見えるぞ」「そもそも鱗に見えねぇよ、ちっこい花だろうよ」
口々に言う見物客は切れ端に興味津々だ。
「リンドウだ」
火消しが半纏の袖をめくると、「5弁に見える小さな花」の入れ墨がある。
「うちの組にとって、水神様の化身の竜は崇める存在なのさ。俺は竜の胆と書く花を入れ墨にしたが、ここまで燃えちゃあ効果ないみてぇだな。残念だ」
「その入れ墨…疫病様の家紋に似とるわ」
入れ墨を黙って見ていた見物が一気に声の方を向く。
年配の女がぼそぼそと呟く。
「隣村の神主様は、笹の上に桔梗の花みたいな紋…その刺繡にそっくりな形をしていた」
「ふーん、桔梗と竜胆は瓜二つだからな…」
と呟くと、火消しはニヤリと笑った。
「疫病様がいらっしゃる村はどの方角だ?」