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めくるめくらがえ  作者: 寺子屋カヤ
2/11

ようこそ夜の店へ

そこは道に沿って、菊が供えられた、3基の墓が並んでいる。

その墓石は、人の形に似ている。

地味な恰好をした老夫婦が一体一体に饅頭を供えて手を合わせる。

それを梅の木の陰から、おむいが隠れて見ている。何ヶ月も洗っていない髪に、汚れた着物は、袖が黒ずんでズタズタになっている。

      

おむいの頭に、梅の花びらが落ちる。

夫婦がその場を立ち去ると、おむいが3個の饅頭を盗んで、土手を降りる。

妻が、何気なく振り返る。

道の真ん中に、饅頭が一つ落ちている。

墓の方を見ると、供えた饅頭がない。

    

夫婦が土手から河原を見下ろすと、おむいの後ろ姿が見えた。


城下町に、大きな橋がある。橋の下の陰でおむいが饅頭をガツガツ食べる。

夫婦が、おむいに向かって歩いて行く。

それに気づいたおむいがビクッとする。

夫がしゃがんで、おむいに饅頭を差し出す。

     

おむいの右手を夫が、左手を妻が繋いで

土手を上がり、城下町の中を共に歩く。

日が沈んで、並んだ店の灯りが

ポツポツ点く。だんだん

城に近づいていくと、夫婦が足を止めた。


店の明かりが漏れる中、一つだけ入り口が真っ暗な店がある。

夫がその暗い入り口に入った瞬間、全体の灯りが点く。人間技ではない。

門行灯に「竜胆屋」と書かれている。




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