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なろうの王族、バカばっかり問題

作者: xoo

 なろうを乱読して、特に婚約破棄ものを読んで感じたのは、「なろうの王族、バカばっかり」だった。



 類型としては、


 ①バカ王子や嫡子を補うために充てがわれた優秀な婚約者が、バカに疎まれて婚約破棄される。

 ②姉妹(兄弟)のうち、親に疎まれている方が、猫可愛がりされている方に婚約者を奪われる。(※漏れなく毒親あり)

 ③やりたい放題わがまま主人公が断罪直前直後に自分が転生者なことに気づき、いろいろ間に合ったり合わなかったり(極小数例)。

 ④婚約者を奪う方は平民出身(時に転生者)の()()()貴族で、おバカ&股が緩い。


・・・全て教育の失敗の果て、子どももバカなら親もバカ(一国の王や王妃なのに)ばかりじゃねえか。亡国一直線。


 Q:なろうの王族、どうしてバカばっかりなの?

 A:お約束だから。

 A:話が盛り上がるから、作りやすいから。

 A:読者が「ざまぁ」を求めているから。


・・・いやそうかもしれないけど。


     【終?】








 私の仮説は、「なろうの読者も作者も、教育(の効果)について期待も希望も持っていない」である。



 教育はなんのためにあるのか。「個人が日常生活や社会生活に必要な知識や技能を得るため」と短期中期的、個人個体段階ではまとめられるが、長期的、世代を跨ぐと「社会階層の上方移動を可能にする手段」と言える。社会全体としては「知識技術を進歩させ、社会を発展させるため」だが、「発展を拒否する構造の社会」においては忌避すべきもの。(うーむ、表現が固いな)


 「バカとブスこそ東大に行け」、これはマンガ「ドラゴン桜」の有名なセリフだが、一つの真理でもある。

 ナーロッパな封建社会では、社会階層を上がることは難しい(下がるだけなら、嫡子以外はすぐ平民に落ちるし、親や親戚の都合で命まで失われる)。封建社会では農民の子は農民にしかなれず、平民階層や下位貴族階層が社会階層をあげるためには、「戦争で英雄になる」か「婚姻」しかない。

 現代日本ではどうか。戦争がないから英雄にはなれないが、スポーツ選手とか芸能人が英雄代わりとも言える。結婚はまだまだアリ(海の王子になるとか)だけど、これらは門戸が狭い。ここでバカやブスが東大に行けば?元の階層より収入や社会的地位が上の職業に就ける可能性、社会階層を上げられる可能性が得られる。いや別に東大でなくても良いのだが、高級官僚とか医者とか弁護士とかに就ければ、社会階層を上げられる(最低限、維持できる)。更には収入の裏打ちがあれば子弟により優れた教育を与える機会が得られ、子供の代でも社会階層を維持できる。


 ナーロッパな封建社会に立ち戻ってみる。封建社会では社会階層を固定されていると利益を得る階層が力(知識、金)を独占している。平民階層は、階層を上方移動する機会・手段をもたないし、階層移動が可能であると考えることもない(知らない)。

 戦争で英雄になるのは平民階層では夢のまた夢、転生してスキルてんこもりで「俺TUEEEE!」でもないと無理。見染められて王族貴族と婚姻、は「モブ」には接点もない。精々が男爵令嬢が王太子と懇ろ(ねんごろ)になっても(逆ハーじゃなくても)将来的に「ざまぁ」される。どうやっても上方への階層移動は出来ない・させない。


 (今日読んだ作品では、孤児出身の主人公が公爵令息と結婚する最後の最後に王弟の忘れ形見であると明らかにされ、「貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)かよ」と……)








 あれ?、「なろうの読者や作者は社会階層の固定を望んでいる」のか?。



 たぶん最初は古典童話の「こうして王子様と結婚した○○姫は、幸せに暮らしましたとさ」のディズニー的結末を捻って、新しい類型を作っただけなんだと思うのだけど、いや思いたいのだけど。

 いやもしかしたら、努力を否定したいのかな。「努力」「友情」「勝利」の少年ジャンプ的結末を、、、


 努力って、面倒だし。








 ・・・論旨がとっ散らかりました。








 ナーロッパな封建社会の怖いところは、「役者不足な王族貴族を責任ある立場に据えなければならない」ことがままある、ということだ。優秀の基準はともかくとして、社会階層の頂点である王は優秀でなければならない。しかし、交配しただけで優秀な仔が出来るわけではない。サラブレッドを育てるには、優秀な牡と優秀な牝を交配して(それも3×4のインブリード(近親交配)とか)産まれた仔にトレーニングして磨き上げる、または叩き伸ばさなければならない。でも交配で保証されるのは形質だけで、形質から規定される身体能力は遺伝すると言えるけど、性格や知性や知識は後天的なもの。

 たとえば歌舞伎役者、みんな同じ顔(みんな親戚だから)。でも放っておいても歌舞伎役者として大成出来るわけじゃなく、幼児期からの修行(教育)で歌舞伎役者になっていく。担保されるのは同じ顔同じ体付き(形質)と幼児期から修行に明け暮れることができる(教育が与えられる)環境。それでも皆が国宝になれるわけではない。


 「姿形は遺伝だけど、王の資質は教育によって作られる」ってこと。

 ただ教育はしばしば失敗する。医者の子が医者になるとは限らない(時々落ちる)。教員の子は半グレる。



 形質遺伝に重きを置きすぎているのがナーロッパな封建社会、なんだけど、日本人好みなんだろうねぇ。何せ、「血液型占い好き」なのは日本と韓国だけらしいよ。








 ・・・着地点が見えなくなりました。無理やり(まと)めます。



 Q:なろうの王族、どうしてバカばっかりなの?

 A:お約束だから。

 A:話が盛り上がるから、作りやすいから。

 A:読者が「ざまぁ」を求めているから。

 A:なろうの読者も作者も、教育(の効果)について期待も希望も持っていないから。

 A:なろうの読者や作者は社会階層の固定を望んでいるから。



【結論】血液型占いが好きだから。

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― 新着の感想 ―
[一言] A.主人公が馬鹿だから
[一言] Q:なろうの王族、どうしてバカばっかりなの? A:王様が優秀だと、平民出身とか異世界出身の勇者の出番が無いから。というか、王様が優秀だったらトラブルはまだ小さいうちに治安機構によって解決出…
[一言]  どうなんでしょう、ハイファンの主人公を追放する層も相当アホっぽいよ。婚約破棄でくっつくのはハイスペック風の貴族や王族多い気もします。  封建社会は社会秩序を、法ではなく血筋によっている側…
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