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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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とある奴隷の開放(1)

 いつもの通りに依頼を行いつつも、クロイツ自身冒険者としての知識を得つつ、そしてリサには更に育成を使ってスキルの練度を上げる事を続けていた二人。


 時折休んで楽しく過ごしつつ、冒険者としてある程度一人前になっていた。


 この頃には相当数の依頼を達成しているので、半年もしないうちにクロイツとリサ共にCランクになっている。


 その間、町のスラム化している場所や遠出した際に気配察知の訓練と共に闇の奴隷商に関連する情報、そして拉致された人々がいないかを継続調査していたのだが、今の所これと言った成果を得る事が出来ていない。


 今日から休日としていたのだが、余りに成果がないので少々遠出をする事にしていた二人。


 基本的にはリベラ王国で活動していたのだが、長期の休みを利用して遠出して国境をまたぐ事にした。


 支部が壊滅的な被害を受けたからかは分からないが、今迄はギルドのネットワークで怪しい動きを多少なりとも掴めていた状況が一変し、支部壊滅直後から地下に潜られたかのように一切の動きが掴めなくなったのだ。


 この状況では自分達の活動範囲では何も情報が得られないと判断し、ギルドには一週間ほど依頼を受けないと伝えて調査範囲を広げる事にした二人だが、全てをそのままギルドに伝えてはいない。


「俺とリサは一週間ほど休もうと思う。依頼も相当こなしたし、ここらで一度身も心もゆっくりしとこうと思ってな」


「そうですか。では、暫くCランク依頼は塩漬けになりそうですが、今はお二人のおかげで依頼は捌けていますから問題ないですね。ごゆっくりお休みください」


 冒険者が一時的に活動休止する場合、ギルドへの報告義務は一切ないが、あっという間にCランカーにまでなった二人が突然活動を停止すると、冒険者の責務上は何も問題ないが、ギルドが困るだろうと言う親切心からいつの間にか担当になっているミューテルに休む事だけを伝えた。


 こうして翌日出国して街道に入ると、人目が無くなった時点で二人は脇道に逸れる。


 既に道がなく、何時どこで魔獣や盗賊から襲われるかもわからない場所にいるのだが、二人にとってみればこの場所こそがこれから活動しやすい場所であると言える。


「そんじゃ、ちょっくら遠出するか?」


「はい、師匠。調査は必要ですが、空き時間には美味しいものを食べましょうね?」


 既にリサの熟練度であれば相当な速さで移動する事は出来るのだが、それでは無駄な時間が必要になる事から、一気にクロイツの転移魔法で動く事にした。


 Dランカー以下の冒険者が一週間の休みに往復できる距離は凡そ決まっている。


 もちろんCランカークラスになればその距離は倍以上になるのが一般的な認識だが、クロイツとリサに関しては全く当てはまらない。


 リサはクロイツの異能である育成によってあり得ない程スキルが底上げされているし、クロイツに至ってはそもそも転移があるからだ。


 一瞬で大陸の端から端と言っても良い距離を移動できるので、今迄調査が一切行われていなかった場所に適当に転移する。


「よし、あっちに村があるはずだ」


「相変わらず凄いですね、師匠。ここは何処でしょうか?」


 一瞬で景色が変わるのには慣れていないリサは、少々目を保護するかのように擦りながら現在地の確認をする。


「すまん。良く分かんねーな。かなり離れた場所だから、国の名前も知らねーよ」


「フフ、そんなところも師匠っぽいですね!」


 軽く会話をしながら街道に出ると、門を目指して歩く二人。


 村と言うレベルの大きさの集落なので、城下町と異なり門と言っても簡素な物だ。


「見かけない顔ですね。こんな何もない辺鄙な村に何か御用ですか?」


「俺達は流れの冒険者だ。適当に移動していたらこの村を見つけてな。正直、ここがどこの国家に属しているのかすら分からない。教えて貰えるとありがたいが」


 少しだけ眉を顰めた門番だが、一応丁寧に答えてくれる。


「それは随分と計画性の無い……ここは、ゼリア帝国の外れに位置する村ですよ。特に何かある訳でもないですし、残念ですが滅多に外部の人が来ないので、宿もありません」


「そうか。ありがとさん。美味い飯はあったりするのか?」


「貧相な村の食事が美味しく感じるかどうかは、人それぞれですね」


 こんな会話がなされている間、リサはクロイツの背中に門番からは見えないように指で文字をなぞる様に書いており、その記述はこうなっている。


『ミツケマシタ』


 リサとしても、自分が見つけられる程度の事は師匠であるクロイツも見つけているのは当然だが、一応連絡だけはしておこうと動いたのだ。


 門番と会話をしながらもクロイツがそれとなく頷いてくれたのを確認したリサは、次にどのような指示が来ても即座に対応できるように、門番に違和感を与えない程度に軽く体を解す。


 クロイツもリサも漸く救出すべき人々を初めて見つける事が出来ていたので、この村の中に気配察知を集中して使っており、背後から近接してくる馬車に気が付くのが少しだけ遅れた。


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