表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/214

ブサ村(6)

 朝も早くにほぼ全ての村人が起き始めているのを感知して驚くクロイツだが、彼らは今日城下町に向かって他国に行く馬車に乗って豪遊する事を楽しみに起きただけだ。


「まっ、余り待たされる事がねーから丁度良いな」


 早起きの真相はクロイツ達にはわからなかったが、恐怖を与えるために意識のある状態で攻撃をする必要があるので、敢えて起こさずに即行動開始出来る事に喜ぶクロイツ。


 一瞬目を瞑って意識を集中すると、溝には人の腰当たりの高さまでの水が充満して既に沸騰し始めている。


 そして村の中央、村長の家から炎が立ち上り始めたのだ。


 その炎は自然発火ではなく魔法による炎である為、徐々に外周方面、溝のある方に侵食して行く。


 家が燃える音、匂い、煙で流石の村民も異常事態に気が付いて、全員が家の外に出てくる。


 一部の早起き連中は既に外出の準備を整えていたのか、比較的豪勢な服に身を包んでいた。


「おいおい、テメーラ、貧相な村の村民なくせに、随分と豪華な服を着ているじゃねーか?あの世への旅立ちにはちょうど良いぜ!」


 突然の出来事に訳が分からずアタフタしている村民に対して、門があった場所から大声で叫ぶクロイツ。


 当然門の外には深い溝があり、中には熱湯が待ち構えている。


 村民は火事だと判断して逃げようとしているのだが、周囲を既に深い溝で囲われているので、最後の望みをかけて門周辺に集まっている。


 そこにクロイツの声が聞こえて姿も見えたのだから、一瞬で頭が沸騰する。


「あの時の冒険者!お前が放火したのか!!重罪だぞ!!」


「そうだ。恥を知れ」


「横にいるのは……リサか!今まで育ててやった恩をあだで返すのか?」


「何か橋になる物を直ぐに持ってこい!今、育てた恩を返せ、リサ!!」


 村人は言いたい放題だ。


「うるせーぞ、この陰湿奴隷商人が、好き勝手言ってんじゃねーよ!」


 一気に黙る村民。


 まさか秘匿事項がバレているとは思ってもいなかったので、誰もが動けないまま背後から業火の音だけが聞こえている。


「そうそう、お決まりの言い訳、謝罪はいらねーぞ。イライラすっからな。テメーラも、攫って来た人達の懇願なんて一切無視しただろ?自業自得だな。あばよ!行くぞ、リサ」


「……皆さん、全ての真実を聞きました。私のお父さん、お母さんを死に追いやったこの村を許せません。何が育ててやったですか!反吐が出ます。二度と会う事は無いでしょう。さようなら」


 こう告げると、リサはクロイツを追って村に背を向けて歩き出す。


 この後のブサ村は地獄になった。


 クロイツが敢えて調整している業火に徐々(・・)に吞まれる者、炎から逃げて溝に飛び降り、熱湯によって長く苦しみぬく者。


 何れにしても生き残れる者は誰一人としていなかった。


 クロイツとリサは、村が見えない位置まで移動して休憩している。


 敢えてリサの気配察知で村の状態が分からない位置まで移動したのは、クロイツの優しさだ。


「リサ、終わったようだ。溝の中にいる連中はそのまま埋めた。炎に吞まれた連中は跡形もなくなった。一度現場を見るか?」


「いいえ。お父さんとお母さんに花を手向けられるのであれば村に行きたい気持ちもありますが、もうあそこには行きたくありません」


「そうか……」


 色々と思う所があるのだろうと、これ以上リサには何も言わず優しく抱きしめてやるクロイツ。


 何故かこうするとリサは元気を取り戻してくれるので、落ち込んでいるリサに少しでも活力を与えたかった。


「師匠!もう大丈夫です。さっ、ギルドに戻って報告しましょう!!」


「……そうだな。じゃあ行くか」


 この時点のブサ村は建屋も全て燃え落ちて、地下の財宝のある部屋だけは無事に残っている状態だが、その部屋に侵入するには燃え落ちた建屋の残骸をどかす必要がある。


 それ以外には何もない、人が住んでいたとは思えない程静かな状態になっていた。


 全てが終わった二人は入国直前で村長を収納魔法から出し、声が出ないように喉を入念に潰した。


 収納魔法について説明できるわけはないのだが、念のためだ。


 もちろん最上級の欠損さえ癒す事が出来るエクスポーションを使用すれば話せるようになるが、そこまでされては仕方がないと割り切る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ