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依頼達成(3)

 クロイツの説明に対して真剣な表情でコクリと頷くリサを見て、頭も良い子なのだなと感心しつつクロイツは続ける。


「今回倒した二体も収納魔法で保管しているが、そんなわけで俺は人前では収納魔法を極力使わない事にしているからリサもこの秘密は守ってくれ。その隠れ蓑として収納袋を使う。リサにも一つ渡しておこう」


 収納魔法から取り出した、王城から拝借した貴重品の内の一つである魔道具の収納袋をリサに渡す。


 そもそも宝物庫にあるような物なのでこれも相当高価なのだろうと思い、一応その辺りも注意しておく。


「リサ、これも相当貴重な品だと思う。だから無暗に使用せずに自分自身を守れるような力をつけるまでは、見た目の容量以上の物は入れるなよ?普通の袋と勘違いさせておくんだ」


「はい。わかりました師匠。こんなにすごい物……私、宝物にします!」


 この笑顔を見て、これからの活動は独り言ではなく可愛らしい弟子であり妹が話し相手になってくれると喜ぶクロイツは、身なりを少々整えさせる事にした。


「あっちに小川がある。今の季節なら問題なく水浴びが出来るだろうから、一度汚れを落とすと良いんじゃないか?服は、心機一転買いそろえよう。ただ、それまではこれでも良いか?」


 流石に収納魔法の中に幼い子供用の服がある訳もなく、フード付きの外套を出す。


「一応こいつは耐寒、耐熱で、見た目はでかいが、着れば丁度良いサイズになる優れものだからな。良し、行くぞ!」


 さっさと行かないとリサが無駄な遠慮をする可能性が高いと思い、手をつないで半ば強引に小川の方に向かうクロイツ。


「俺はこの奥で周囲を見張っているからな。まぁ、今の段階で怪しい気配は一切ないから安心して寛いでくれ。それと、これを使うと良いぞ」


 同じく収納魔法から、自然配慮型の石鹸を取り出す。


「こんなに……ありがとうございます」


 流石にここまで来てしまえば遠慮する事が出来ないリサは、クロイツの好意を受け取り小川に向かう。


 その後ろ姿を確認したクロイツは視界にリサが入らないように木の裏に移動して座ると、目を瞑り暫し休憩する。


『まさか初めての出会いを期待した貴族っぽい連中にはさっさと逃げられ、依頼先の村でこんな出会いがあるとはな。彼女には出来ねーけど……』


 どこまでも考えの中心にあるのは、彼女だったのだ。


「お待たせしました!師匠??」


 相当久しぶりの水浴びだったのか、かなり長い時間が経過していた。


 リサは木の裏にいるクロイツには気が付かないので、クロイツと別れた場所で不安そうにクロイツを呼ぶ。


 いつの間にかうたた寝していたのか、クロイツは少々不安そうなリサの声に即反応して即座に立ち上がり木の裏から顔を出す。


「お!見違えたな!!」


 そこには、想像通りの美少女が白い外套を羽織った状態で立っていた。


 渡した外套のフードは被っていない状態なので奇麗になった顔は良く見えており、くすんでいた髪も奇麗な黒髪に変身して幼いながらも艶を出している。


 クロイツも思わず無意識の中で頭を撫でてしまい、リサも二度目であるので嬉しそうに、気持ちよさそうにきれいな黒目を細める。


「はっ、イカン!リサが余りにも可愛いから呆けていたぜ。そんじゃ、村に戻って依頼達成のサインを貰ってから町に戻るか!」


「ハイ、師匠!!」


 本当はもう少し撫でて貰いたかったリサだが、これからいくらでもチャンスがあると思っているので我儘は言わなかった。


 リサと二人で今回のグレートオーガ二体討伐の依頼を出していた村に戻るクロイツ。


 相変わらず鍬を持った門番の様な人物がおり、クロイツの姿を確認すると慌てて駆け寄ってくる。


 リサはこの村に帰って来る道中でクロイツから可愛い妹ができてうれしい……と褒められまくった事から、恥ずかしくなってフードをすっぽり被ってしまっている。


「無事でしたか。でも余りにも早くないですか?そっちの白い外套を着ているのはリサ……か?何か問題がありましたか?」


「いや、もう依頼は終わった。ホレ」


 縄で括りつけて引き摺ってきた討伐対象の首を指し示すクロイツ。


 流石にこの大きさになると収納袋の見た目以上の大きさになっているので、そこから取り出すと普通の袋ではない事が明らかになってしまう。


 当然収納魔法などもってのほかであるので、村が視界に入った段階で態々外に出して引き摺ってきたのだ。


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