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《新世界オンライン》 執事は実は最強職?  作者: どら焼きドラゴン
第1章 執事は主を主は執事を求める
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05 剥ぎ取りナイフと本の正体

「ちょちょちょっと! なによこれ!!」


 女はそう言ってゴキブリの死体を指差す。

 そんなこと言われても困る。勝手に出て来た奴だからな。


「しかも、これまさか突撃ゴキブリ(アサルトコックローチ)じゃない!? でも、色が違うし…まさか変異種かしら?」


「いや、私に聞かれても……。」


「でもあなたが、コレを倒したんでしょう? 」


「いや、本を片付けていたら腐った木の床から出てきたんだ、 ほら、あそこの大穴から。」


 女にゴキブリの出どころを教える。


「ふーん、こっから出てきたのね。よっと。」


 なんと女は片手を躊躇なく穴に突っ込み、がさがさと腐った木の中を漁る。そして、一冊のボロボロに崩れた本をつまみ上げた。


「やっぱりね、【火の魔法書】を食べて変異したみたいね。あんた、あの突撃ゴキブリが魔法を撃ってきたりした?」


「あ、ああ。触角の先から赤い弾を発射してきたんだ。連射もしたが、威力が下がるようで倒す時には助かったよ。」


「やっぱり……。」


 女は考えこむ、いったい何かあったのだろうか。


「なんで悩んでるのかって顔してるわね。普通ならこの情報はタダで教える訳にはいかないけど、特別に教えてあげる。このモンスターはね、普段ならこの街の地下水道に生息するモンスターなの。」


「なるほど。それがこんな街中のゴミ部屋から出たからおかしいと。」


「そんなのは問題じゃないよ。こいつの習性が問題なのさ。」


「習性?」


「そっ、奴らは何でも食べる、そして食べたモノに強い影響を受けるの。例えば、木を食べ続けた突撃ゴキブリは木のように硬い外殻を持つようになる代わりに火に弱くなったりするとかね。」


「それで……あ。」


 なるほどわかった。

 つまりあのゴキブリはこの部屋の本をかじって、魔法が使える個体に成長していたのか。


「魔法を使っていたのか、その本をかじっていたから。」


「そういうこと。かなり珍しいケースだわ。」


 そう納得したようにウンウン頷いている女に対して、お前のせいじゃね? と思ったのだがそれは言わない方が得だろう。


「そうか。ではこの死体はどうしたらいい?」


「ああ、それなら【剥ぎ取りナイフ】でアイテムもしくは素材化できるわ。」


 ん? なんだそれは。始めて聞いたぞそんなアイテム。


「……持ってないのだが。」


「え? 」


「ん?」


「……あー、なるほどね。」


 女は急に納得したような顔をすると、懐から一本のナイフを取り出した。


「これが【剥ぎ取りナイフ】。どの武器屋にでも必ず置いてあるわ。モンスターを狩っても、素材が剥ぎ取れなければ倒した意味がない。そこでこのナイフの出番よ。」


 そんな専用アイテムがあったんだ。


 女が突撃ゴキブリの死骸に【剥ぎ取りナイフ】を突き刺すと、ナイフとゴキブリが消滅し、素材アイテムとして変換された。


「【剥ぎ取りナイフ】があればこのように素材化させることができるわ。だけど、安いナイフだと素材化が上手くいかなくてアイテム量が減ったり、質が悪くなるから気をつけてね。ちなみに、基本的にナイフは使い捨てだから数を揃えるのは基本よ。」


 え、マジかよ。


「ちなみに【剥ぎ取りナイフ】の相場は?」


「そうねー、だいたい一本500リアかしら? 高いやつだと5,000リアするのもあるわよ。」


 あ、流石にぼったくりレベルの値段ではなかったか。

 それくらいならなんとかなりそうだ。


 さて、悩みの種であったゴキブリの死骸もなくなったことだし、掃除を再開しますかね。まだ本と家具をどかしただけだしな。


「──ところで、この部屋にあった本達はどうしたの? 」


「え? 私のインベントリにしまったけど?」


 女が聞いてきたので、正直にこたえる。


「あ、そうなの? ずいぶんと大きな収納魔法を使えるのね。」


「まあ、そんなものだ。そういえば、板や釘は持ってないか? この床は腐食や汚れが酷くてね、いっそ全部張り替えようと思うんだが。」


「うーん、それは賛成ね。私もここまで酷い状態とは思わなかったわ。たしか、裏庭に沢山の板が置いてあるから使っていいわ。でも、あなた【大工】とかのスキルあるの?」


「一応【細工】ならあるが、レシピがないな。【応急修理】系のレシピとかもないか?」


 彼女は少し悩んだ後、あることを教えてくれた。


「レシピはないけど、たしか私の本の中に【細工のススメ:シリーズ】があった筈よ。その本を見ながらでもレシピなしに出来る筈だわ。」


 ほう、そんな裏技みたいなこと……でもないか。現実でも学生が、参考書見ながら問題解いたりする。そのようなものだろう。


「わかった、それでやってみよう。」


 彼女に裏庭から板を持ってきて貰うよう頼み、インベントリの中からその本を探した。


◆◆◆


 《アイテム一覧》


・【炎の魔導書】

・【水の魔法書】

・【風の魔法書】

・【土の魔法書】

・【光の魔法書】

・【闇の魔法書】

・【雷の魔法書】

・【金魔法の書】

・【台所整理術とそのコツ】

・【つまらない魔法の書】

・【低級魔法一覧図鑑】

・【細工のススメ:1巻】

・【細工の歴史】

・【暗黒の森の歴史】

・【片付ける やり方 そのコツ】

・【王国の歴史】

・【地下下水道の仕組み】

・【行ってみたい世界の絶景100選】

・【細工のススメ:2巻】


 etc.……。


◆◆◆


 ──なにこれ?





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