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《新世界オンライン》 執事は実は最強職?  作者: どら焼きドラゴン
第1章 執事は主を主は執事を求める
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04 ユニークモンスター

 さて、まずはこの山のように積み重なった本達を運び出さなきゃならない。

 しかし、本は見ただけでも200冊はある。しかも、一抱えもある巨大な本から、雑誌程の薄い本もあるので、これも仕分けが必要だな。

 

 問題はこの本達を何処に運び出すということなんだが。


「……この本てもしかしてアイテム欄に入るのか?」


 ふとそう思って、近くにあった本を手に取ると、他にアイテムの時と同じようにアイテム欄に収納してみる。


 結果、本は何の抵抗もなくアイテム欄に収まっていた。


「あっ、ちゃんと入った。これならとりあえず仕舞う場所ができた。」


 そこからは早かった。痛んだ本やまだ綺麗な本を手当たり次第にアイテム欄に詰め込み、本の山を解体していく。


 たまにカビが酷くて、ゴミと化した本もあったが、執事の初期装備である【執事の白手袋】のおかげで気にせずアイテム欄に詰め込めた。


 ちなみに、本の題名なんかを見ることはできない。鑑定系のスキルを取っていないからだ。SPが貯まったら取るのもアリかもな。


「ふー、こんなものだな。 次は──うひゃあ。この録画部分後でカットしないと駄目かも。汚すぎだ。」


 本や羊皮紙、それらを収納していた棚まで全てアイテム欄に叩き込んだ店内は、床が露になっていた。


 そしてゾゾッと来た。床板のあちこちが黒カビや菌糸、虫が涌いており床板が腐り穴だらけになっていたのだ。


「虫を潰して、カビを根絶やしにして、菌糸は……燃やすか? それならば一旦床板ごと張り替えするのが早いか、もしかしたら床下も危険な状態かも。」


 《スキル【細工】が発動しました》

 《この床板を直すには、レシピ【応急修理】が必要です》


 うん? 【細工】が反応したな。なるほど、今レシピを持ってないから修理はできないのか。どこに行けばレシピって手にはいるのだろうか?


「ふーむ、これでは修理ができんな。さてどうしたもの──ッ!?」


 急に後ろから何か動く気配があり、振り返ると床板の一部がごそごそと動いていた。なんだろう、目の錯覚か?


「ギギギギギ……。」


 何かを擦るような音と共に、床板が動く。

 いや、床板と色が似ているだけで、これは……巨大な虫だ!


 《条件を満たしたことによりモンスターが現れました!》

 《緊急クエスト発生! 床下より現れたユニークモンスターを狩猟せよ! 》


 まさかのユニークモンスターかよ、まだ普通のモンスターすら倒してないぞ!


「ギギギ……」


「やるしかないようだな。」


 床下をバリバリと破って出てきた虫は1メートル近くの大きさがある茶色の奴だった。

 みんなが一度は家の中で会う虫であるゴキブリだ。奴は羽を広げてこちらを威嚇してくる。


【初心者の剣】を取り出して構える。こちとら学生時代はフェンシングをやっていたんだ! ちょっと剣の形が違うがなんとかしてやろう!


 《特殊戦闘エリアが解放されました。》

 《戦闘が終わるまでこの場所から出ることはできません。》


 そんなことどうでもいい、 今は目の前の相手に集中する。


「ギギギ!!」


「ハッ!」


 飛び掛かって来た奴の攻撃をギリギリで回避し、ゴキブリの羽の付け根を狙って剣を突く。──が。


「くッ!? 固い! 」


 まるで鉄板に突き立てたような固い感触が剣越しに伝わる。

 腕がちょっと痺れたぞ。


「ギギギィイ!!」


 ゴキブリは突き刺されたのが気に障ったのか怒りの声を上げる。

 そして、触角の先端を付き出したかと思うと、そこから真っ赤な弾を飛ばしてきた。


「まずい!っ!ぐぁ!!」


 い、痛い。

 急いで避けたものの、肩に当たってしまった。


「ギギギギ!!」


 ゴキブリがこちらが被弾したのを見て、喜びの声をあげながら、次の弾を発射した。


「うわっと!」


 その弾は遅く、先程よりかわすのが楽だった。どうやらあのゴキブリはあの弾を連射すると威力が落ちるようだな。


「ならば勝機はある、いざっ!」


 剣を縦に構え、ゴキブリに向かって一直線に走った。


「ギギギ!!!」


 ゴキブリもたまらず触角から赤い弾を撃ってくる。

 ドンピシャだ!


「なんのこれしき!」


「ギギッ!!?」


 その弾にわざと直撃し、爆煙が舞う中からゴキブリに剣を突き立てた。

 剣はゴキブリの口元からブスリと刺さり、剣の根元までグリグリと押し込んだ。


「ギギュッ!!?」


「まだまだ!」


 それでも苦しみ悶えるゴキブリの背中に飛び乗ると、口元にある剣の柄をつかみ、持ち上げた。


「ギギャアアア!!!」


 ゴキュゴキュという気持ち悪い音と共に、ゴキブリの腹部から大量の青い血が流れ床をそめる。剣がゴキブリの腹の皮ごと内臓を切り裂いたのだ。


「……終わりだ。」


 大量の血を流し、脚をピクピクさせるだけとなったゴキブリの頭に踵落としを食らわせた。


  《レベルアップしました!》


 《……ユニークモンスターの無力化を確認、クエストクリア!》


 《特殊クエストクリアにつき特典が与えられます》

 《特典1:スキル【ジャイアントキリング】が与えられます》

 《特典2:称号【無慈悲なる者】【掃除人】が与えられます》

 《特殊行動報酬があります──スキル【魔法耐性】が与えられます》


 《ソロでクエストクリアにつき特別報酬があります──スキル【魔導のススメ】が与えられます》


 《特殊戦闘エリアを解除します》


 ふう。なんとか勝ったようだ。

 しかし、クエスト報酬を確認する前に新たな悩みができてしまった。


「……この死体と血は、どうしよう。これじゃあ片付けるどころか汚してしまったよ。」


 普通のゲームならばポリゴン化して素材となってくれる筈だが、このゲームではそうではないらしい。


 おそらくアイテム化させる何かがある筈だが、それは知らん。


「うーん、どうしたもの──」


「ああああああ!!! なんじゃあこりゃあああああ!!!」


 うんうん悩んでいると、背後から叫び声が聞こえた。



























この話は昔投稿していて結局ボツになったVRMMOモノを構想から練り直したものになります。


プライベートの都合上毎日投稿はできませんが、面白かったら評価お願いいたします(^^)

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