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《新世界オンライン》 執事は実は最強職?  作者: どら焼きドラゴン
第 3 章 新しい世界
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第28話 戦闘のススメ

すいません久しぶりです

今回はちょっと長めです

 さて、リリアナにケーキを運び。しばらく話があるから自由にしてよいと領主様から許可を貰った為、レベル上げにでもと街にへと降りた瞬間に屋敷の外で出待ちしていたプレイヤー達が押し寄せた。


 たしかに私は領主の屋敷へ消えていった悪魔達を従える執事として認知されていた。


 質問責めにしようと取り囲んだプレイヤー達に先を急いでいると伝えても、見せ物のパンダをみるように人の檻がさらに厚くなるだけであった。


 そして、人とは大人数になると気が大きくなるものであの悪魔達はなんなのかと口々に問い詰めた。

 中には恫喝のように「俺には数千人のフォロワーがいる」と言って威嚇する者までいた。NPCにもおんなじこと言うのかね?


 流石にしつこいので、ディーノスを呼び出す。


『および…ってなんだこの人の量は。』


『アグレアスらとどういう関係か聞きたい人々だ。』


『あやつらとの関係を聞いてどうするのだ。』


『自分達もあれに匹敵する力が欲しいから、もしくは力を手に入れてマウントを取りたいから、あとはただ聞きたいだけさ。』


『ふんっ、我らはそんな輩の契約を結ぶのは真っ平御免だ。』


『そう言うな。中には私よりも優れた人はいるはずだ。一部分の悪い所を見つけて、全て悪として糾弾するのは早計だぞ。』


『それはともかく。どうするのだ? 奴ら武器まで抜きかけてるぞ?』


 ディーノスが注意する。


『問題ない。私がまたがったら、嘶けディーノス。』


「こら、話はまだ終わってないぞ! 」


「逃がすか! 道を塞げ!」


 逃げるのかと危惧した一部のプレイヤー達は武器を抜き、その他のプレイヤー達もそれとなく道を塞いでいた。


「ては一つ教えましょう。私はこの街の領主様ひいてはお嬢様の専属執事。私を妨害するということは領主様に対する反逆と捉え、然るべき対処も辞しません!」


 声を張り高らかに宣言すると、プレイヤー達がたじろいた。その瞬間を見逃さず、合図を出した。


『いまだ! 走れディーノス!』


 ディーノスが嘶き、立ち上がると驚いたプレイヤー達が飛び退いた。

 鼻から火の粉を撒き散らす黒馬が全速力で迫ってくる姿はプレイヤーからすれば一大事である。


 道は自然と開かれ、一気にプレイヤー達の包囲網を走り抜けた。

 呆気にとられたプレイヤー達の中でも過激な考えを持つ者達はグレーターチキンを呼び出し、追いかけた。


 だが、相手は悪魔の馬である。初期の街にいるグレーターチキン程度では追い付くことは不可能であった。プレイヤー達はこの謎の執事を追い詰めれることが出来ず地団駄を踏むことしかできなかった。




「………んで? アタシの所に来たのかい?」


 煙草の煙が立ち込める薄暗い店の中、カウンター席に肘を付きながらアリッサは面倒そうに睨んだ。


「いやはやすみませんね。ここならあまり異邦の方も来ないと思いまして。」


「そりゃそうさ。アタシの店は千客万来じゃあないんだ。」


「その割には片づいてますね。」


 初めて来た時とはうって変わり、書類や本は棚にキッチリ納められ、観葉植物や金庫等まで増えていた。


「ッ!……ハァ。最近よくきてくれる異邦人がいてね。そいつがたまに掃除してくれるんだ。」


 アリッサはあきらめたようにため息をついた。


「あなただけなら3日でモンスターハウスにしそうですからね。」


「うるさい! しかし、あんたかなりやっちまったねぇ。」


「何がです?」


「あの騒ぎをアタシが知らないとでも?」


 アリッサは手をひらひらさせながら笑う。


「悪魔の軍団の中心にいたらそりゃねぇ? 街の中じゃあ領主様が悪魔達を従えたなんて噂もでているが、アタシはそうは思わないね。」


 アリッサは確認するかのように笑う。だが目は真偽を測ろうと狙っていた。


「その変の判断はご自由に。私はお嬢様に仕えるただの執事ですから。」


「フンッ、相変わらずアンタは嫌みたらしく言うのが好きだね。」


「性分ですから。では私は失礼します。」


「次は目立たないように変装でもしなよ。アタシの所にも少ないけどアンタのこと聞いてくる客はいるからね。」


 しばらくはスチュワートの姿でソロで動くのはやめようと誓いながら、店を後にした。


 店の外に出る瞬間にランスキーの姿となり、裏路地を行く。

 裏町ではランスキーはちょっとした有名人であり、子供達がスリや当てつけをしようとすればチンピラのような兄ちゃん達が慌てて止める程だった。


 小腹が減ったので闇市の酒場にでもと足を運ぶ。


「よぉ、誰かと思えばランスキーじゃねえか。」


「やあダナー、久しぶりだな。」


 マスターに軽い食べ物を注文しながら話に興じた。出てきた食べ物は茹でた白ソーセージにさっぱりとしたザワークラウト。闇市なのに出る料理は表町に劣らない。

 ナイフで切ると肉汁がドロリと溢れ皿をキラキラと反射させる。味も悪くない。


「ああ、マスター俺にもくれよ!」

 

 となりで飲んでいたダナーも堪らず注文した。しばらく情報交換がてらに食事を楽しんだ。


「ん?」


「どうした?」


「いやどうやら知り合いからメールが。」


 あの青い髪をした女の子から森での狩りをしたいから手伝ってほしいという旨のメールがきていた。


「あー俺もたまにくるな。用心棒に来てくれみたいな依頼がほとんどだが、たまに掃除手伝いこいって雑貨屋のババーからメールがきたりするんだ。ワハッハハハハハ!」


 この世界でのメールはNPCも使える。だいたいはメールと呼ぶが、設定では《伝書妖精》とよばれる者達が運んでくれるというものだ。


「では行こうかな。」


「おう、頑張ってこいよー。」


 ダナーに見送られ、待ち合わせの場所である広場へと向かった。





「本当に来るのかな~?」


『来るんじゃねーの?』

『く~る~きっとくる~♪』

『タロットカード使えば来るんでしょ?』

『え? ランスキーってプレイヤーなん? エリカちゃんに近づくなぁ!!』

『えぇ…。』

『↑ほっとけただの駄馬だ』


 あの悪魔達のパレードはコメント欄も大いに沸き上がり、視聴者の数も上がった。だが、この後に普通に狩りをしてしまえば正直盛り下がるだろう。

 その為、急遽この前に貰ったフレンドタロットを使うことにした。



【フレンドタロット】


 ・フレンド登録した者同士で発行されるタロットカード。集めることで【タロット占い】ができるようになる。

 


 タロットを使い、狩りの誘いをかけたのだ。広場で雑談しながら待っていると、暗殺者のようなフードを被った男がこちらにやってくるのが見えた。


「あ、きました!」


 カメラを使い、その姿を撮る。スタイルのいいミステリアスな男性がピシッと歩いてくる姿はそれだけで絵になる怪しさも満点だ。正直怖い。



『あー!やっぱりカッコいい装備だなぁ』

『アサ○リ4の装備みたい』

『歩き方がもう強者』

『パパァ↑とか言ってきそう』

『暗殺者というより殲滅者みたいだぁ』

『皆殺しにすればステルス理論』



 コメント欄は上々、視聴者数も上がり調子。うんうんいい感じ。


「どうも。」


「いやーどうも! 今日はよろしくお願いします!急に呼び出してすいません!」


「いえいえ。それよりも狩りとはいったい何を?」


 おー低い声! 若々しい高い声もいいがハードボイルドな声もいい。


「はい! 森でフォレストピッグ狩りをしようかと思ってます。牙と肉が高く売れるんで!」


「なるほど。では行こうか。私は後方支援や不意打ちしか出来ないが役には立つつもりだ。」


「はい! 前衛職なんでありがたいです!」


 呼び出して正解だったかもしれない。というか狩りじゃなくて街で引き連れ回っても絵になりそうだ。くっ、私としたことがそんなことを思い付かなかったとは! いや、まだだ。


「あ、ポーションとかは…」


 どうだ!

 

「大丈夫だ、来る前に揃えてある。余分に買ってあるので二人までぐらいだったら、心配ない。」


「…あ、そうなんですね! 」


 準備万端だったー! 思ってたより気遣いできる人だったー!


『おやおやおやおやおや』

『心なしかうれしそう』

『背景にチラチラ移るプレイヤー達の目付きが怖い』

『まーそりゃこんなイケボで丁寧な人ならねぇ』

『我々はこんなんだし…』

『いつもが酷い男ばかりくるだけでは?』

『はwwwきっもwwなんやこいつwロールプレイ乙www』

『男は中身よ!』

『中身も見栄えも完璧なのがいたら?』

『やめろぉ!』

『男の配信者でエリカちゃんに絡んだ奴が軒並み酷すぎたんだよなぁ』

『ハズレ逆に引きまくるエリカちゃん』

『痛い痛いwww暗殺者のコスプレして紳士プレイとかwww』

『↑通報しといた』

『かわいい売りにしてるからなぁ』

『たまにはアタリ引いて良かったなぁ』

『↑無視無視』






「森は平原の時とは違う静けさや枝葉の擦れる音、木々によって遮られる視界、その陰から奇襲をかけてくるモンスター達が出てくる。だが、モンスターも奥まで行かなければそこまで強いのは出てこない。さらにはよく見ればわかりやすい隠れ方なので見分け方も簡単だ。それを応用して奇襲をわざと誘うやり方もある……こんなふうに。」


「キャシャッ!」


 ランスキーさんが私に話ながら背後から近づいたゴブリンに後ろ蹴りをいれた。

 ゴブリンはベータ版にはいなかったモンスターだ。森の中から奇襲を仕掛けて首筋や脇の下にナイフを突き付け即死攻撃を狙ってくる厄介な敵だ。


「なるほど!」


『はーいランスキー先生』

『もはやチュートリアルのおじさんより丁寧』

『攻略組も見に来てるなーw』

『ぬぉ!よく反応できるな』

『これは…私にも出来んなあ。』


 ランスキーさんは森に対しての知識があり、森での悩みであった奇襲するゴブリンや木の上から飛びかかってくるスライムの回避のやり方を教わった。チュートリアルみたいなものだが、みんなもよく悩まされていたようでコメント欄も賑わいを見せた。ナイスだ!


 そして何よりも人気だったのは―――


「キェー!」

 

「おっと」


「な!?」


 なんとゴブリンが木の上からナイフを握りしめ、私に飛びかかってきたのだ。急な攻撃に固まってしまったが、ランスキーさんが私の前に滑り込み攻撃を防いだ。


「すまん、私としたことが【索敵】から外れるゴブリンがいるとは。」


「え、あ、はい。」


『おー!』

『これはカッコいい』

『ん?あのゴブリンのナイフ真っ黒じゃね?』

『固まって動けない所によく間に合わうな』

『わしら反応速度おじいちゃん』

『ホンマや』


 まるで姫を守る騎士のように攻撃を防いだランスキーさんにちょっとドキドキしてしまったが、すぐに体制を立て直す。


 あのゴブリンは他のゴブリンとは違う真っ黒なナイフを握っている。おそらく特別な個体だろう。とすればかなり強敵だ。


「ちょうどいい。人形のモンスターの対処を教えよう。」


「ん?」


 え、もしかして特別個体だって気づいてない?

 

『ん?』

『ん?』

『流れ変わったな』

『え? 特別個体にそれやっちゃうの?』

『あかんランスキーがしぬぅ!』


「ランスキーさん! そのゴブリンのナイフ普通じゃ…ええええ!?」


 なんと、ランスキーさんがトリッキーな動きをして翻弄していたゴブリンの膝を躊躇なく正確に蹴った。


「ギェエエ!!」


「ゴブリン等の素早いモンスターは瞬発筋、つまり急発進する筋肉が発達している。だが支えとなる膝や骨を破壊すればこのように素早さが落ちる。」


 ゴブリンは膝を抑えるように前屈みになって苦しむ。


「そして動きが止まった所に弱点への一撃を食らわせると……フンッ!」


 ランスキーさんがゴブリンの首筋にめがけて蹴りを入れてた。

 靴のつま先からはナイフが飛び出し、ゴブリンはくぐもった悲鳴をあげるとビクンっと身体を震わせるとゼンマイがきれた人形のように崩れ落ちた。


「人形のモンスターはだいたい首の左右もしくは左胸あたり、股の内側等が弱点なことが多いので即死を狙える。では、お次はどうぞ?」


「………で」


「で?」


「できるかァァァァァ!!」


「ぶべらっ!?」


 ランスキーさんを思わず殴ってしまったが、仕方ないだろう。あんな靴に仕込みナイフいれてる人なんかいない!


『あーあ。』

『なんてこったランスキーが○んだ!』

『この人でなし!』

『仕込みナイフカッケェ!』

『先生キャラとかきっしょww』

『お前はよどっかいけよ』

『ほえーレベルに関係なく一撃必殺技とかあるんだな』

『↑一撃技はあるけど狙うのは難しい』

『仕込みナイフの靴欲しいなあ!』

『作れるかなぁ』

『耐久力がないと厳しいかなあ』

『というかピッグは?』

『膝破壊とかもある神ゲームやん』

『ローキック流行りそうw』

『豚さんなら俺の目の前にきてるよ』

『↑しぬやつw』





友人「てめぇの首(更新滞り罪)はいくらになる?」

私「さぁ? 今も上がり続けてるから…」


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