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《新世界オンライン》 執事は実は最強職?  作者: どら焼きドラゴン
第2章 《悪魔の血》と悪魔達
22/30

22話 焼きリンゴと珍客

はい、作者です。

久しぶりの投稿ですね。

日刊ランキング3位に入ってたりして感謝感激です。

こんな自分の好き勝手に書いてる小説が皆様の目にとまったことに感謝しております。誤字や口調がおかしいよ!って報告も凄いありがたかったです。



 領主にリリアナの安全確保と救出を簡潔に伝え、起きるのを待っていると空腹度の減少の警告がきた。


 そういえばゲームの中では朝から何も食べていなかった。

 お嬢様が拐われてからドタバタしていて食事どころではなかったからだ。

 インベントリを漁ったが、手持ちには携帯食糧はおろかプレーリーチキンの肉すらなかった。


「…これは木の実でも探しにいくしかないな。」


 《等価交換》で食事を交換しようとも考えたが、あの骸骨ローブが料理できるとはとても思えないので切り捨てた。


 寝ているリリアナの警護をミミック・デーモンに任せ、素早く探し回る。


「近場でもけっこうあるものだな。」


 森の中に生えている野生のイチゴのような茂みに生えてる実やリンゴのような木の実を集めるのはなかなか気持ちがいいものだ。


 インベントリで名前を見てみれば普通に【野苺】と【小林檎】だった。【食用】と書いてあったので、食べても問題はないだろう。


 ミミック・デーモン達のいる場所に戻り、【小林檎】を一つ齧る。


「……酸っぱい。」


 まだ緑を残しつつも赤く熟れているように見えた【小林檎】はまるでレモンのように酸味が強く、とても食べれたものではなかった。


 しかし、満腹度は一個食べるだけで4割は回復するので、食べないわけにはいかなかった。

 しかし、この酸味はなかなかキツイ。

 どうしたものか……。


「あ、そういえば。酸味が凄い果物は火を通せば甘くなるんだっけか。」


 いつ見たか忘れたが、たしかバラエティー番組でそんなことを言っていた気がする。間違ってたら間違ってたで残念なことになるだけだ。


 実をささっと薪を集め、ミミック・デーモンが使える【火魔法】で着火をお願いする。


 火を落ち着かせるまでしばらく待ち、地面に熱を持たせる。その間に、小林檎の木の皮を少し剥ぎ取り、よく洗ってから【小林檎】をいくつか包む。

 灰を掻き分け、地面を少し掘り、小林檎の皮包みを置いて石と灰で埋めた。

 そこから火力を一気に上げて、20分程焼けば完成………の筈だ。


「ん……んぅ。」


 どうやらリリアナも目を覚ましたようだ。


「あ、お嬢様。目を覚まされましたか。」


「……あ、スチュワートおはよう。……何だかいい匂いがするわね。何か焼いてるの?」


「はい、少々試したいものがあったので。」


 さて、そろそろ焼けたか。

 火をどけて灰の中から包みを取り出す。

 中で焼けた小林檎の焼けた甘い匂いがする。これは当たりかな。


「……何それ?木の皮?」


 リリアナはいつの間にか寝起き特有のボーッとした目から甘い匂いによってパッチリ起きたようで、肩ごしに包みを覗き込んでいた。


「ええ…いい匂いですね。」


 包みを外すとホロホロに焼けた小林檎が湯気をたてていた。

 手袋を外し、一つ摘まむとトロリとした透明の液体が滴った。こいつはかなりの蜜をためているようだ。


 念のため、インベントリで調べて見ると【焼き小林檎】となっており、食べても問題ないとのこと。


「………食べないの?」


 リリアナはインベントリに仕舞われた【焼き小林檎】を、残念そうに見てそう言った。


「いえ、安全を確認しておりました。では少々お待ちを。」


 流石に良家のご令嬢に手掴みで地面に座りながら食えという訳にはいかない。そのためテーブルセットを急遽つくることにする。


【執事の嗜み】と【細工】を使い、インベントリ内の使える材料で一気に制作できるのは楽だ。


【細工】にはレシピが存在し、本来は自分のオリジナルのアイテムを作った時に、登録するために使うのだが、イメージが苦手な人向けのために運営があらかじめデザインした家具やアクセサリーが全員に配布されている。


 その中にあった【おまかせ!午後の一息セット】というものがあった。インベントリ内のアイテムをレシピが自動で判断し、足りない素材は他の素材で補ってくれる。


 インベントリにはいつの間にか貯まっていたプレーリーチキンの羽毛と骨(人)(鶏)(蜥蜴)が大量にあるので………ちょっと人骨は不味いが……まあ言わなければ大丈夫だろう。


 そうして一瞬にして出来上がったのがこれだ。



【冒涜と混沌のテーブルセット】評価5

 ・ありとあらゆる生物の体の一部を使い作られたテーブルセット。狂気から解放された喜びと殺された憎しみが入り雑じる。頭蓋骨の燭台に灯る火は死んでも尚使われることとなった彼らの怨嗟なのか、それとも見守る暖かい火か……。


 《特殊効果》

 ・状態異常回復

 ・攻撃力上昇

 ・精神汚染(攻)

 ・精神強化





 うむ大丈夫かこれ。特に精神汚染が怖いんだが。




【精神汚染(攻)】

 ・対象になった人物の精神を蝕み、攻撃的な性格になりやすくなる。対象の意識が弱いほど侵食は早くなる。完全に侵食すると、【狂暴者(バーサーカー)】となり敵味方関係なく襲いかかるようになる。



【精神強化】

 ・精神系のありとあらゆる影響を受けにくくなる。




 ふむ、こいつら同士で打ち消し合っているのか。なら大丈夫かな。念のため先ずは自分で座ってみるか。


 テーブルセットをだしてみる。

 見た目は一本足タイプの黒いテーブルと椅子だが、テーブルの根元にトカゲの頭蓋骨のような装飾が施されており、眼窩には赤い光が灯っている。白のテーブルクロスの上には髑髏の装飾がついたケーキスタンド、赤と白を基調としたカップとソーサーが2セット、中央には頭蓋骨の中に蝋燭が灯っている燭台があった。


 正直これはヘビーメタルのミュージックビデオに出てきそうなデザインであり、個人的にはダサいと思ったが……。


「わぁ!カッコいいわスチュワート! よくこんなの手に入れたわね!」


 リリアナには何故かウケたのだ。うむ、子供の好みはよくわからん。


 まずは自分で座ってみる。


 座り心地は悪くない。それに何かされているわけでもない。どうやら大丈夫そうだ。

 とりあえず、従わなければスクラップにするぞと念を送ってみる。おや? 椅子がぶるりと震えたな。


「スチュワート?」


 リリアナが私の行動で困惑してしまっていた。


「ああ、すみません少々このテーブルセットは癖物でして、意思を持っているようなので躾をしていました。」


「そ、そうなの?」


「はい。ではお茶を入れますね。座ってお待ち下さい。」


 リリアナのために椅子を引いて座るように促す。

 お茶葉は選ぶのが面倒だといくつか携帯していたのが役にたった。


 ティーセットにある湯沸し器、まあヤカンであるがそれを火に掛ける。湯が沸くのを待っているとディーノスから【通話】がきた。


「《ディーノスか。》」


「《あぁ、全て終わったぞ。しかし、お嬢は見つからなかった。》」


「《気にするな。お嬢様は私が救出済みだ。砦から1キロ程先の谷にいる。赤沼の奴らは?》」


「《始末した。とんだ雑魚だった、楽しむ暇すらありはしないほどにな。如何せん数が多くて煩わしかったわ。》」


 クツクツとディーノスはそう笑う。 それなりには満足したのだろう。


「《まあお前が満足したなら構わないさ。そういえばあの女は?》」


「《………それがな、どうやら赤沼の奴らの一人から胸を揉まれた? らしく怯え腰だったのがいきなり鬼気迫る気迫で敵を切り裂きはじめてな。いやー上半身と下半身が綺麗に別れる程の斬撃は見ものであったわ。あとはやたら股を執拗に狙い、切り裂いていたな。》」


「《ええ…? それで今は?》」


「《…あーなんだが「お宝!」って叫びながら宝物庫の中に飛び込んだきり奇声を上げているな。》」


「《…………わかった彼女が出てきたら私の場所まで一緒にこい。全員で動いたほうが安全だ。》」


「《了解した。》」


 不思議な女だな。まあ、抱きついた赤沼の奴は災難だったな。同情はしないが男の尊厳を失い、命も失うとは哀れだ。

 おっと、お湯が沸いたな。


「お嬢様、お湯が沸きま……。」


「あ、スチュワート。もう一人いるならちゃんと言ってよ。」


「やあ、私もお茶と焼きリンゴを食べさせてくれないか?」


 リリアナの向かいの席に、あの骸骨ローブがいた。しかし、たまに姿がぼやけて白髪の老人に見えるのは何故だろうか。


「ああ、今は私は認識阻害をしている。君は私の本来の姿を知っているから、効いてないのさ。まあ、本気でやれば対策スキルがないとわからなくなるけどね。」


「なぜあんたがいるんだ……。」


 まったく驚いてヤカンを落とすところだったぞ。


「ん? 君は《悪魔召喚》があるだろ、そこに干渉してこうやって出てきたのさ。まあ一時的だがね。」


「悪魔なのか、爺さん。」


 アンデットかと思ってた。


「アンデットではない。あんな低俗な死に損ないどもと一緒にしないでくれ、私は"名"のある悪魔だよ。まあ、今は制限されてしまった情けない悪魔だが。」


 名のある悪魔……誰だろうか? 今度調べてみるとしよう。


「まあ私のことはそれぐらいにしてお茶を煎れてくれないか? お嬢ちゃんも待ってるようだよ?」


 リリアナのほうを見るとたしかに少しムッとしていた。早く煎れるとしよう。


「申し訳ありませんお嬢様。直ぐにお持ちします。」


「ああ、ちょっとまってくれ。」


 爺さんが指を鳴らす。


 《装備が解除されました!》

 《特殊装備【下級悪魔の燕尾服】が装備されました!》


「んをっ!? 」


 私の装備が外された!?


「そんな暗殺者みたいな装備だと雰囲気が悪い。悪いが服は替えさせてもらうよ。


 たしかに一理あるな。暗殺者が給仕していたら私でも身構える自信がある。


 あらためてお湯をポットに入れて茶を煮出し、小皿に焼き小林檎を盛り付けていく。甘味がかなり強いとのことなので、1つずつだ。あとはベリーを添えて物足りなさを補う。


「お待たせいたしました。」


 リリアナと爺さんの前に小皿を並べ、カップにお茶を注ぐ。

 マナーとかはあんまり自信がないため、おそらく変に見られたかもしれないが………勉強しなきゃな。


「ほう、これはまた美味な。」


「甘くて美味しいわ。」


「スプーンが抵抗なく入るなんて不思議ね。」


「小林檎は酸味が酷く、熱を通さねばならない果物だが、ここまで甘くなるのはなかなかない。焦げ目もほどよく歯ごたえがあるし、腕がいいぞ。」


「芯まで柔らかいのによく形を保っていたわね。それに、このお茶もよく合うわ。」


「ありがとうございます。」


 おおむね好評で一安心である。


「お茶のおかわりは如何なさいますか?」


「頂くわ。」


「私にもくれ。」


 サッとお茶を追加し、リリアナの背後に控える。

 爺さんとリリアナの会話を邪魔しないようにそれとなくお茶の量や焼き小林檎の確認をし、話の切れ目を見計らいお代わりや交換を申し出た。


 そんなことをして、しばらく緩やかな時が流れた。






 風の音に混じって少し遠くで草葉をかき分ける音が聴こえた。ディーノスか?


「…ふむ、珍しいお客様がきたようだね。」


 爺さんも気づいたのかこちらを見て笑う。


「身構えなくていい。害をなす存在ではないから。」


「えっ? えっ? 何か来てる?」


 ガサガサと草葉が擦れる音がしだいに大きくなり、リリアナにもわかるほど目の前の草むらが揺れていた。

 そして……


「甘い匂い!」

「うりゃー!」

「甘みをよこせー!」


 草むらから葉っぱの服を着た、ちっちゃな三人組が私目掛けて跳び蹴りをしてきたのだった。




























この話書いてる時


私「あー今回はこんなもんかなー。」

友人「なあなあ、それどんな話書いてるの?」

私「悪魔を従えた執事の(テキトー)

友人「悪魔って主人公と合体したりする?」

私「するねぇ」

友人「空飛んだり?」

私「まだ未定だけどやろうかな?」

友人「あ^~くま~の力~手に~い~れ~た~」

私「正義の~ヒーロ~」

バカ二人(私と友人)「「デビ◯マ~ン デビル◯~ン!!」」


まああんなシリアスな話にはならないんで大丈夫です(^o^)

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― 新着の感想 ―
[一言] 最初黒執事がイメージになってたのに……感想なんのを見てたら執事がデビルマンに見えてきたよ(笑)
[一言] 主人公かっこいいなぁって思って読んでたらあとがきの友人との絡みで笑ってしまいました。
[気になる点] 実ささっと薪を集め、ミミック・デーモン使える【火魔法】で着火をお願いする。 ミミック・デーモンが使えるとかでは? [一言] 知ってるか?デビルマンって1970年代なんだぜ...
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