02 ステータス設定
機械に寝転び、ログインと念じる。
《ログイン開始します。》
《既存のデータがありません。キャラクターメイキングに移ります。》
目の前にのっぺらぼうのマネキンが現れる。そしてその横に現れる沢山のパーツ。うわっ、これ数えただけで頭おかしくなりそう。リアルスキャンとか無いのかよ。
《プライバシー保護の為です。》
うわっ、いきなり声が、なるほどこれがサポートAIね。
うーん、でもプライバシー保護なら仕方ないなあ。
これは凝るしかないかな。
《先にステータスを設定し、その職業に合わせた、おまかせアバター制作というサービスもありますよ。》
なるほど、それなら先にステータス設定からお願いします。
《了解しました。》
◆ ◆ ◆
《ステータス》
名前:
種族:
職業:
Lv.1
HP 100
MP 100
STR 10
DEX 10
VIT 10
AGI 10
INT 10
LUK 10
SP 100
《スキル》
無し
《称号》
無し
◆ ◆ ◆
ふーん、基本的にステータスは10から始まるのか、そして種族によって補正が変わってくると…。
《種族を選んでください》
・人間
・樹人
・獣人
・魚人
初めは4つだけってのも新鮮だな。最近のゲームは初期種族のバリエーションめちゃくちゃ多いのに。
《あなたの行動次第で進化、もしくは転生の範囲が広がります。》
それは凄いな。やろうと思えばオンリーワンの種族になれたりするんだ。
《なれます。頑張ってください。》
ふむ、じゃあここは無難に人間で。
《種族が人間に選択されました。》
《職業を選んでください。》
種族の時とはうって代わり、職業はめちゃくちゃな量が用意されていた。……《椅子職人》とか《清掃員》とか取るやついるのか?
まあいいか。俺は何にしようか……迷うな。
おっ、ランダムとかいるのか。運が良ければ最初からレア職につける可能性もある、とな。これは広告担当としてもやらない訳にはいかないな!
《ランダム職業が選ばれました……《執事》が選択されました。》
あー、外れた。《執事》は選択画面にあったやつだ。だけどランダム職業は一回きりだし、仕方ない。これでやってみますか! 執事プレイ!
《職業が選ばれました。》
《職業スキルが解放されました。》
《スキルを選んでください。》
おっ、いきなり情報が増えたぞ。とりあえず確認からだな。
◆ ◆ ◆
《ステータス》
名前:
種族:人間
職業:執事
Lv.1
HP 100
MP 100
STR 10
DEX 10
VIT 10
AGI 10
INT 10
LUK 10
SP 100
《職業スキル》
・【執事の嗜みLv.1】
・【調理術・菓子Lv.1】
《スキル》
無し
《称号》
無し
◆ ◆ ◆
ふむ、職業スキルで【調理術・菓子】と【執事の嗜み】がでたな。こいつらは職業にちなんだスキルとなるのだろう。何でお菓子作れるのかはわからんがな。
さっそくスキルを選んでいこう。スキルを取るにはSPが必要なようだ。初期ボーナスとしてSPは100あるな。一番安いスキルでも10は必要なのでなかなか悩む。一番高いのではSP100使いきりで、【重力魔法】や【隕石魔法】、【ギガスラッシュ】等見るからに強そうなスキルが沢山ある。
しかしこういったスキルはだいたい膨大なMPを消費したり、体力を消耗する筈だ。お、これならいいかもな。よし、だいたい決めた。
《スキルを獲得しました。》
◆ ◆ ◆
《ステータス》
名前:
種族:人間
職業:執事
Lv.1
HP 100
MP 100
STR 10(+5)
DEX 10(+5)
VIT 10
AGI 10
INT 10
LUK 10
SP 0
《職業スキル》
・【執事の嗜みLv.1】
・【調理術・菓子Lv.1】
《スキル》
・【体力自動回復Lv.1】
・【タフネスLv.1】
・【剣術Lv.1】
・【細工Lv.1】
・【馬術Lv.1】
《称号》
無し
◆ ◆ ◆
【タフネス】はステータス向上スキルだ。STRとDEXが5プラスされる。
SPが50も消費するのは痛いが、先行投資だと割りきろう。
他のスキルは言わずともわかるだろう。【細工】はアクセサリー系統の装備を自作したいから、【体力自動回復】はデスをあまりしたくないから。
そんな簡単な理由である。
【馬術】は…、俺がただ乗りたいだけだから、かな。
よし、完了!っと。
《スキルが選択されました。》
《名前を決めてください。》
名前、名前……。本名は神崎 康人だが、それにするわけにはいかんし……。うーん、職業が執事だしそれっぽい名前にしようか。
《名前 スチュワート でよろしいですか?》
うん、この言葉を使おうかな。 本来ならば執事よりも上の人が付く役職の名前だけど、最近は混合されつつあるし大丈夫でしょ。
《名前を登録しました》
《全ての設定を終えました》
《キャラクタークリエイトを開始します》
イエスを選択すると、自分のキャラクターが作られていく。
《キャラメイクが完了しました。確認してください》
「……こいつは。」
出来上がったアバターが現れる。
俺の目の前には、スーツのような服を着こなし、モノクルをかけた銀髪、紫目の老紳士がいた。これならば一般人が「あっ、執事さんだ。」といったような反応をするだろう。
「よし、始めよう。」
《全ての設定が完了しました。「新世界」を楽しんでください。》
浮くような感覚を覚え、目の前が光に包まれた。
しばらくして地に足が付く感覚があった。目をあけると、俺は大都市の中にぽつんと立っていたのだった。ゲームの始まりとしては定番のような城塞都市だが、驚くべきことにNPC達が本物のように歩き回り、生活し、会話をあちこちでしていたのだ。
「……これがゲームだって信じられない。凄いな『新世界』。」
今、プレイヤーは俺を含めて100人がテスターとして参加している筈。その中で俺は広報としてこのゲームをプレイしなければならない。
せっかく執事の職業についたのだ、執事プレイとしてやっていこう。
「さて、初期アイテムとかあるのかな?」