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夢。偶に見る夢。いつも同じ夢。


燃える都市。逃げる住民。


そして、降り注ぐ流星群。


都市を砕かんとするそれらは、

地上からの数々の光に撃ち落とされるが、

そうして数を減らした流星を押し除けるよるに、

途方もない大きさの流星が雲を裂き現れる。


繰り返し撃たれ続ける光に、

しかしその流星は揺るがない。


そいつに向かって右腕を構える自分。

何事かを呟き、構えた右腕が光りだす。

そして閃光が迸り…




諸共に砕けた。




「っ痛ぅ!…またこの夢かよ…」


ラボから離れた公園の人工芝の上、昼寝を打ち切ったその夢に独りごちる。

何度見ても見慣れない悪夢。夢見が悪くて寝不足なのに、

不足を補う昼寝がこれでは意味をなさない。その上…


「ましになったとは言え、毎回痛みで目覚めるって拷問か何かか…?」


スキルに目醒めた日の夜から、悪夢と激痛とオトモダチになった。

当時5歳の子供に耐えられる筈も無く、昏睡、嘔吐、また昏睡。

家で過ごした記憶のあやふやさに比べ、染みまで覚えた治療施設の天井の悲しさよ…

多くは持てない家族との思い出の大半は…ほぼほぼベッドの上でしたとさ。


「…よし、悲しいから不貞寝しよう!」

「させると思うか?」


寒気が走る。歳を感じさせない覇気のある声は呼ばれた者が思わず背筋を正す程。

それに呆れを混じらせる俺凄い!なんて言ってる場合じゃねぇ!?


「オサラバで…ぐべぇ!?」


スキルにより強化された蹴りが、容赦無く俺を襲う。

人工芝を抉りながら2回、3回バウンドし、頭から着地。

舞った土煙が落ち着いた後、芝と土を払いつつ立ち上がる。


「ペッペッ!…毎回容赦無さ過ぎん!?死んだらどうする!?」

「ハッ!お前がこの程度で死ぬものか」


振り向いた先に立つ、白衣よりも軍服の方が似合うだろう男。

親の顔より見たプロフェッサー。

御歳50を迎えるそうだが、その佇まいは巌のよう。

鍛え抜かれた肉体、鋭い目線、眉間の皺は抜けないが整った顔。

無言で立つ様子ですら、女性陣の心を掴んで離さないという。

それはともかく…


「もう少し優しく扱っても、バチは当たらんのでは?」

「サボり魔の修正に気を遣え、と?」

「…ごもっとも。…で?何か御用でも出来ましたか?

 サボりを咎める程暇じゃないだろ?アンタ」


都市長より都市長らしいこの男、とにかく忙しい。

災厄が呼んだ怪物〈魔獣〉対策の総責任者の他、

技術研究、兵器開発、都市防衛計画等…

都市運営において、この男が絡んでいない要素があるかどうか…

いつ寝てんの?過労死しない?


そんなスーパー(ヤバイ)男は、次にこう宣った。


「聖女が来る。出迎えの準備をしろ」

「………なんで?」

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