序章 1
初投稿。宜しくお願いします。
災厄の日―
突如として飛来した流星群は、人類の生存圏を大いに蹂躙した。
大地は灼かれ、恵みは失われ、数多の生命が奪い去られた。
惨劇に見舞われた人類は、残された資源を巡って争いを繰り広げたが、
そもそも相手を害する武器が不足しており、早期に泥沼化。
加えて、災厄で失われた者達に対する罪悪感も募った結果、
異例の早さで争いは終結し、人類は束の間の平穏を取り戻した。
しかし、ここで転機が訪れる。
ある者は踏み締めた脚が地面を割り、ある者は振るった拳が樹を抉った。
それだけであれば力が強くなり過ぎたと片付ける事も出来たが、
道具も無しに火を放った、握り締めた石が鋼に変わったとなると、周囲は騒然とした。
原因不明とされたそれらの特異能力は、理外の力〈スキル〉と呼称され、瞬く間に研究が進められた。
その結果、発見された法則は次の通りである。
・一人が持てるスキルは一つのみ
・スキル間では自然の法則が適用されない
・スキルの強さは当人の資質に依存する
そうして研究の進んだスキルの力は、
災厄と争いで荒廃した街を復興させ、更なる発展を促した。
しかしそれは、同時に確執を生み出した。長年の研鑽がスキル一つで追い抜かれ、
資本に優れた企業が優秀なスキル保持者を囲い込む―そうした社会の流れは反感を生み、
デモや抗議活動、酷い時にはテロ行為へと繋がっていった。
情勢は不安定化し、人々の心に暗い影を落とした。
平穏が終わり、争いの日々が再び始まる。
誰の心にも浮かんだその予感は、確かに実現した。
しかしそれは、人と人の争いではなかった。
―――魔獣の到来である。