やがて戻り大きな喪失感と焦りを得る
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「う・・・ん・・・?」
目を開けると草原・・・
ではなくベンチの上に座っていた。
「ここは・・・ミルズの外か・・・?」
何か夢を見ていたような・・・。
さっきの草原はいったい何だ。
ふと隣を見ると、花が頭を俺の肩に預けて寝ていた。
「え、ちょ・・・!」
やばいやばい緊張する!というか
「寝顔可愛い・・・。」
そういった時、彼女が目を覚ました。
「むにゅ〜・・・うん・・・ん、ここは・・・?」
かわえ〜。
ほんまかわえ〜。
「あ、あれ?健?」
ようやく自分の状況に気づいたらしい。俺の肩で寝ていたことを恥じているのだろうか、顔を真っ赤にしている。
「ち、ちがうの!お、おこるよ!」
あらやだ理不尽。
「怒るなよ。あれだって記憶がないんだから。」
「え?・・・あ、思い出した!」
「どうなってたんだ俺?」
「私が服を試着して、その、に、似合ってるって言った後に倒れたのよ。それで健の意識は普通にあったからここまで連れてきたんだわ。」
「確かに言われてみればあの時から記憶がないな。で?花が俺の隣で寝てた理由は?」
すると花はまた顔を赤くし、荒く言い返してくる。
「思い出させないでよ!たしか健をベンチに置いたあと寝顔見たら私も意識を失った・・・のかな?」
「花!もしかして夢見たか!?」
「健も見たの?」
「ああ。どんな夢か覚えてるか!?」
「分からない・・・ほぼ忘れた。」
「草原はあったか?」
「草原・・・あったと思う。うん、確かにあった!」
どういうことだ・・・。
「同じ夢を見ていたのかもしれない・・・。何も覚えてないが・・・。」
「何か思い出せない?私何も覚えてない!」
「確か・・・誰かと喋っていたような・・・。」
「言われてみればそうかも。」
「どんな内容だ・・・思い出せよ俺!大事なことなんだ・・・!」
花が口を開く。
「何で同じ夢を見たんだろう。」
「分からない。ただ・・・。」
「ただ?」
「何か理由があるんだろう。今はわからないけどな。1つだけ言えるのは見たことがないのに見覚えがある(・・・・・・)感じだった。」
「そうね。・・・どこかで経験したことかしら。」
「わからんな・・・。」
それからは無言になる。
同じ夢を見ていたことはほぼ確実。だが一体どんな内容だったのか全くわからない。家に帰って考えよう。
「花。帰ろうか。」
「そうね。」
もう4時だ。かなりの時間寝ていたことになる。
ただそれだけ寝ていても体は逆に疲れている。
今日1日でいろいろな事が起きたからな。
ここまで酷い日はこれまでになかっただろう。
お風呂から上がる。
はぁ〜疲れた。
まだ10時か。
でも寝よう。もしかしたら、もしかしたらまた・・・。