全ての解明は虚無へと導く 中章②
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次回は24日15時にあげます。お楽しみに。
ーメチル・スペルチア
その名前を見た途端に、夢が思い出される。
ああ、確かにそう呼んでいた。
ノイズがかかっていたけど、はっきり断言できる。本能がそう言っている。
この子だ。この名前だ。
この子、メチル・スペルチアが俺の夢に出てきていたんだ。
ならば次の疑問が浮かんでくる。
なぜ俺の夢に出てきたのか。
いつの話なのか。
ダンス中に思い出したワンシーン。
それは俺が女の子と踊っていたシーンだった。
俺はそれを経験している。ということは、
俺はメチル・スペルチアと会ったことがあるのか・・・!?
「何・・・だと・・・。」
まだ確証はない。だが、もうほぼ確定だろう。
だってメチル・スペルチアという名前を聞くだけで
ーこんなに胸が痛いから。
なぜかはわからない。ただ、胸が痛いのは真実ということだろう。
だが、すでにこの人は亡くなっている。17年前に。
どういうことだ。17年前ということは俺は生まれたか生まれてないから微妙な時期だ。だが、生まれていたとしても赤ちゃんだから草原に行くことはできない。
ということは、メチル•スペルチアは全くの赤の他人なのか・・・?
ーいいや違うよ。
俺とよく似た声が頭の中で響く。
ーお前は誰だ。
そいつに問う。
ー俺だよ。いまから順番に言うから少し待てよ。
苦笑している雰囲気。いや誰なんだよ怖ぇよ。
そいつは勝手に喋りだす。
ーさっきメチルは17年前に死んだから他人だと思っただろ。
なぜか怒気をはらんだように聞こえた。
ー・・・ああ。17年前は生まれてないからな。
ー分かっていなかったのか。じゃあ言う。俺はな、
俺はお前の前世だよ。
お前が今喋っているのはお前の前世だ。
頭をぶん殴られたかのような衝撃だった。
ーどうやって・・・それを証明する。
ーさっきおれが怒った理由を言おう。
俺の問いを無視して、別のことを話しだす。
ー俺がさっき怒った理由。メチルはな、同じ歳で
俺の好きな人だったんだよ。
それなのにお前は忘れていた。だから俺は怒ったんだ。あんなに大事に思っていたのに。
まぁ生まれ変わったなら仕方ないな。
ー・・・すまん。
前世の俺の好きな人か。夢の中の出来事しか覚えてない。どんな人物だったのだろう。
前世といえど、俺の性格は変わらないだろう。
ならばおかしな点が1つ。
ーそんなに大切な人ならなぜ守らなかった?俺なら絶対に守ってたぞ。