プロローグ
とある大通りから少し外れた公園に異様なオーラを醸し出している男が一人いた。彼は静かに椅子に腰かけ、目の前の机の上には一つの水晶玉が置かれている。明らかに不審者のようだが、そんな彼のもとに一人の女性が近づいていく。
「ここってRって占い師さんがいるところで合ってますか・・・?」
まあそうだろう、こんな場所にいるこんな不審者に話しかけるには相当な勇気を出したことだろう。
「いかにも。それで誰からここの場所を聞いたんですか?まあ、誰であれ悩みがある人を見捨てることはしませんがね。」不適なそして不気味な笑みを浮かべる。
「そうですね、まずは名前と生年月日。それと兄弟構成を書いてください。」
そんなことを言われ、不審がりながらも渡された紙に言われたことを書き出していく。
それから数十分後、その女性はすっきりした表情でその場を後にした。
「おい、さっきのは使えそうか?」
先ほどまでそこはただの何もない空間であった。しかし、今は一人の男らしき人影があった。
「そうだな。あれはダメだな。」
占い師の男は一つも驚いた表情を見せずに答える。
「早く次のターゲットを探せよ、涼。」
「わかってるよ、アス。そうは言ってもよー、そんなすぐにちょうどいい奴なんて現れねーよ。今日はもう遅いし、また次かな。」
その流れで片付けを始める。
占い。
それはいろいろな方法をもって、その人の生き方、今後の人生、恋愛などの相談事の解決を伝えるものだ。それの真偽はいずれにせよ、相談者にとっては彼らの言うことが正解であり、信じる道にもなりうるものだ。
その占いを頼る人の共通点。それは皆が悩みを抱え、少なからず弱っているということだ。人はみな、弱っているときはとても付け込まれやすい。特に占いなど近親者ではない人に相談する場合は特に。
そこで俺は考えた。その人たちを操っていろいろなことをしようと。巧みな話術と些細な動作を見逃さない観察眼が俺の生まれ持った才能である。それを使えば簡単に人をだませると。