11. 不思議な彼女
あまりの眩しさに目を瞑って——次に気が付いたときには、光は収まっていた。
「エーファ!エーファ?」
慌ててエーファを探すが彼女の姿はない…。代わりに彼女が居たはずの場所には、1人の少女が横たわっていた。
薄い茶色の髪でヴィアより少しだけ年上に見える少女。エーファに似た綺麗な顔立ち。けれど彼女のような人間離れした雰囲気はない。服はエーファが着ていた物と同じで、そして腕にはヴィアとお揃いの、緑色のブレスレット。
(エーファなの?)
でも、それならどうして姿が変わったのだろうか?混乱したまま顔を覗き込んでいると、少女の瞼がゆっくりと持ち上がる。
「エーファ?」
目があった彼女に問いかけると、彼女は困ったような顔で首をこてんと傾げ、静止する。そのまま何か考えているようだけど…どんどん顔色が悪くなる。
「自分の名前はわかる?」
ふるふる、と首を振る彼女。
「じゃあ思い出せることは?」
ゆっくり思案した後、呟いた彼女が呟く。
「………、ヴィア。」
「…!」
(彼女はエーファ?)
『ヴィア』という言葉以外は覚えていないみたい。表情はエーファよりも豊かで、不安げに揺れている…。彼女に聞きたことがたくさんある。けれど今聞いたところで答えられないだろう。
「…私の名前、オリヴィア。『ヴィア』っていうの。よろしくね。」
「…ヴィア。あなた、ヴィア?」
「そうだよ。オリヴィアのままだと長いから、『ヴィア』って呼ばれていたの…。」
「名前わかる?」
首を横に振る彼女。自分の名前さえわからないよう…
「そっか…。思い出すまで『エヴァンジェリン』は?『福音』ってゆう意味があってね…」
さっきまで、側にいて守ってくれた人の穏やかな顔が浮かんで、何か込み上げてくる…。そのまま俯いた頭に、手の温もりを感じて——顔をあげると、目の前の彼女がそっと手を伸ばして、心配そうにこちらを伺っていた。不安でいっぱいだろうに…。込み上げてきた気持ちを抑える。
「エヴァンジェリンだから…だから、そう…『エヴァ』は?ほんとの名前がわかるまで『エヴァ』って呼ぶのはどうかな?」
彼女がエーファに似ていたから——だから、思わず同じ名前を提案してしまった。
「…エヴァ。…ヴィア。」
こくん、と頷いた彼女は、『エヴァ、ヴィア。』と繰り返す。そんな彼女の姿がエーファと重なる——
(彼女と一緒にいよう——)
例え彼女がエーファ自身であろうと、彼女が残した何かであろうとも関係ない…。
エーファは、見ず知らずの私を助けてくれた。側にいてくれた。今度は私の番だ。知らない少女…不安でいっぱいのはずで、それでも人のことを気遣える優しい少女。彼女の、支えになりたい——
「エヴァ。行く所無いなら、うちに来ない?」
にっこり微笑んで手を差し出す。『エヴァ』と呼ばれた少女は、少し戸惑いながらも手を伸ばし…差し出された手に自分の手を重ねた——
これで、出会い編完結です。2人が家族になるのはこれから。続きが書けたらいいなと思います。




