1-8.「魔法を見た」
「王権は王位継承者でも使用できるんですよ?
勿論、陛下よりも力は落ちますが」
聞いてもいないことを言い出す、メリアス。
そもそも王権がなにかわからないんだよ。
「王権って?」
「いえ、それは私からでなく陛下から」
『王が説明する』って言ってるんだし先に教えれないってことなのか。
◇
それからずっとメリアスは話し続けている。
「ええ、前王朝は魔人が発見された頃でして、戦死した国王と第1王子に変わり、次男であったリート・モルガン陛下が王になられたそうで」
黙って聞いているんだが、前の国王の最後なんて話してもいいのか?
それと、なんで王と第1王子がなんで戦地に行ったんだ? それとも国の中で戦死したのか?
こんなこと、メイドたちに聞かれたらまずそうなものだけど。
部屋を見回してみたが、様子は何も変わっていない。あるとすればメイドと執事の1人が談笑してるくらいだが。
ん? それなのに話し声が聞こえない……。
「あら、気づかれましたか? 勉学とはやはり静かな空間で行うものです。私の外郭魔法で、静かな空間を作りました」
「そう」
何も見えないし、外の音は聞こえない。
これが魔法なのか。
「魔法でしたら、明後日から始めますので」
俺が、魔法に感心してたのを察したのか、メリアスがそう教えてくれた。
じゃあ明日は何をするんだろう。
「明日は?」
「明日は、殿下にお客様がいらっしゃいます」
『設定を読んでても退屈だから女性に言わせる』らしいですね。これは天才。