1-7.「王子だった」
「『ジークハイル神仰国』この国は、
建国の王であった『モナーク・フラムガル王』が、この地の地母神であった『ジークハイル神』と築いた王国です」
「その後、戦争で我が国は勝利し続け、現在は人族最大の大国にまで成長し、
ジークハイル神から授けられた権能である『王権』をもって、現国王の『リート・モルガン王』は国を治められています」
成る程、よく分かった。ついでに聴きやすい声だった。
でも、なんで今の国王と最初の王の家名が違うのか。建国から現代まで続いてる風だったけどそうじゃないのか?
「なんで最初の王と今の王の家名が違うんだ?」
「殿下は、王家の家名が特殊だと知っていたのですか?」
「うん」
「実は、ジークハイル神との盟約により、王家は次代の家名を現国王の名前から取ることになっているんですよ」
「そう」
なんの意味があるんだろうな。
「今代の王位継承権第1位はモナーク殿下ですから、5回目のモナーク王朝ですね」
「ん? モナーク殿下って……」
「ええ、モナーク・リート殿下ですよ」
兄が王位継承権第1位だった。
王位継承権があるって事は王族ってことじゃないか。
そう言えば『殿下』って呼称は王子に付けられるものだっけ? そんなこと覚えてないよ。
「でも、王家と貴族の家名の違いに気づくなんて流石ですね」
「私は何位なの?」
「殿下は、王位継承権第3位ですよ」
メリアスの言葉をスルーして、気になることを聞いてみた。
成る程。
俺も王位継承権を持ってるのか。