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2-23.「再戦のダエーワ」

 太陽は暮れ月が登り、この場に居るのは3人だけ。

 体を落とし左に下げた刀を構える、俺ことジークエンス。

 対面する俺の敵、居合いの構えで右手に自信が作り出した剣を持つ悪魔ダエーワ。

 さっき回収した人質の妹のチェリン。



 動き出す。


 俺は左に挿した刀に手を当て、踏み込む。

 地上スレスレの低空ジャンプと、地面に足を着けてのステップの合わせ技でダエーワとの距離を詰める。


 ダエーワは一直線に距離を詰め、居合抜き。

 その剣の形状は刀のようで、斬る為の刃も付いている。



 俺と悪魔の刀は互いの胴体を狙って振るわれ中央で止まる。互いの刀がぶつかった。


 甲高い金属音に濁点を付けたような音が鳴る。

 お互いが更に踏み込み、何度も刀を打ち合っている超近接戦闘。


 踏み込んだ足を少しでも動かせば剣が軽くなり一撃を入れられる。

 激突したその位置で打ち合い続け、互いに薙ぐように攻撃。それが互いに刀にぶつかり跳躍し、お互いに距離をとる。



「……互角か」



 刀の間合いから少し出た位置に着地して、刀を鞘に収める。


 刀の打ち合いは互角。


 "知らない間"だった3年間の間に俺は、成長期を迎えていたからか強くなった。

 リハビリを終えた時には、魔力も体力も前と比べれば格段に強くなっている。

 それが単に『寝ている間も身体的成長があった』からか、『神通力の宿命通の知られざる副産物』か『転生ボーナス』などかは判らないけれど。


 そんな俺に、あの悪魔は互角に戦っている。

 前に戦った時の地力は俺の方が高かったと思うけど、やっぱり3年のブランクが大きかったというところか。



「刀で互角。互角の強さ、コレが主人の言うライバル。か」

「違えるなよ悪魔。殺し合いだ、貴様が死ねばその考えはなくなる」



 俺と違い、悪魔は刀を収めずに正面に構えている。

 俺は斬り合いより抜刀術による一撃の方が強いからその為に収めているが、悪魔はそれに警戒してるのか、いやそもそも鞘が無いのでダエーワに抜刀術は使えない。


 アシュレイ姉に習った極彩色抜刀術。

 勿論技だけを見ればアシュレイ姉の方が上手いのだが、実践となれば俺の抜刀術だって輝く。



 俺は支えるように握っていた刀を柄に力を込め、ダエーワに向かって突き進む。


 今度は低空を跳ね、足で走り、氷結魔法で作りだした氷で足裏や体を押したりしてと、3種類の規則性の無い動きで近づいて行く。

 構えている悪魔も対応出来ていない様だ。

 俺は刀の間合いまで入り、そこで抜刀! はせずに、3種類の歩法で悪魔の周りを右から一回転。



「『抜刀術の二、切り口北より 伏流』」



 俺の移動位置を予測し、目で確認する前に刀を振るって来たが当たらない。

 既に悪魔の足元に身を屈めており、屈伸の体のまま抜刀術を発動。腹あたりを斬った。





「ぐ……ッ」



 刀を構えて距離を取り、敵の様子を見ながら宙に浮いた状態で、刀を鞘に収める。



「グ、ぅうああ……ッ!!」



 吠える様に咆哮し、痛みを表現している。

 深く斬り込んだ斬り口からはドロドロの黒い液体が体を伝えっており、流れ出ているのは体液。恐らくは人間で血にあたるものだろう。

 その見た目は、健康診断に引っかかる感じ。


 あまり痛がられると、それまでの事を忘れて可哀想に感じてしまいそうなので追撃を加える事にする。

 次に狙うは首。

 3年前は関節、心臓部分に攻撃してたけど今はそれをやるのは危険だ。


 再度抜刀する。



「悪魔を疑え」



 皺を寄せて瞑っていた瞼を開け、悪魔は俺を見据える。

 今のは全部演技だった?

 体を伝う黒いドロドロの血が巻き戻ししてるかの様にダエーワの体に戻っていく。


 不思議な体だが、そっ首斬る。


 勢いそのままに抜刀し斬りかかるが、ダエーワは2本目の刀を即座に生成。俺の突撃を迎え撃ち、3メートル先の地面に跳ね返す。

 左手の指だけで地面に触れ、勢いを受け流す様に跳ねて受け身を取る。

 弾き返されて、合計で6メートルちょいまで戻された。



「なん……だ、アレは」



 フッ。と俺の驚きが嬉しいといった様子の悪魔。

 前に一度勝てたといっても、今回も簡単に勝てるとは限らないようだ。

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