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2-21.「奴隷」

 王城を出た俺は、屋敷の屋根を伝いながら最短距離で西のスラム街を目指す。


 俺は腰に剣を二本挿しその上に外套を着用して、全力でかけている。

 城を出る直前の情報だが、メルティはやはり居なくなっていたらしい。



「2日連続で捕まって、あの子も恐がってるだろうな」



 屋根から屋根に飛び移る際には、水魔術+氷結魔法の合わせ技で自分の体を支え飛び、進んでいく。


 そして、左右の剣で重さが違うので若干バランスは良くない為に走りづらい。

 右腰に下げている白羽の剣の方が重いく、左に下げている刀の方がまだ軽い。



 王都に住む富裕層の生活圏を抜け、所謂一般市民、平民の住む生活圏に入った。

 そこで区切る様に、家の大きさが小さくなり多く増える。


 この街の先にあるスラム街。

 何故そうしているのか薄汚い建物が多く、ここからでも所々で魔法が光り輝き、爆発して砂埃を巻き上げるのが見える。



「ここからでは何の魔法か分からないな。 戦闘なのは間違いなさそうだが」



 戦っている片一方は俺を呼んだ奴だろうが、もう片方は誰だろうか。





 平民街とスラム街の境目は、双方があまり近付かない家数軒分程の空間だ。

 人通りはほとんどないし、街道も整備されていないで近寄り難い雰囲気がある。


 そこを突っ切り、ジャンプで超えられる細い小川を渡るともうそこはスラム街だ。


 ここで人通り。ではなく女子供を含めた数人ごとの集団があった。

 計100人は超えている。



「なんだ?」



 日も暮れ、通常の生活リズムだと就寝時間のはずだが。


 しっかりと見渡せばコレは家族で固まっていると分かり、その一つに首輪のついた奴隷数人程の集団もいた。

 彼らの近くに奴隷商人or主人らしき者は見当たらない。


 俺はその奴隷達の集団に、何故集まっているのか尋ねてみる事にした。



「おい手前の屈強そうな男のお前。そうだ、私の質問に答えなさい」

「あ? 誰だテメーー」

「ーー分かりましたっ、すいません。彼ではなく私が答えます」

「何故お前達はここに集まっているんだ? 主人はどうした。それと、何があった?」



 指名した男の代わりに、割って入った女の奴隷が代わりに答えると言う。


 スラム街に王権を使える人間。つまり王族がいたと分かれば大問題になる。

 王権を使わずに簡単に聞き出せそうな相手として、俺から目を背けて関わらんでおこうとした人達ではなく、奴隷の集団を選んだ。



「私たちに主人はいません。売り出される前に奴隷商から逃げてきました」

「ああ」

「スラム街に入って逃げようと思ってたのに、急に戦いが始まって、元々住んでた人達に混ざって逃げてきました」



 話の内容は、だいたい予想の通り。

 さっき遠目で見えた「光、爆発、砂埃」が戦闘の様子で、スラム街でこれだけの人が逃げてくる程の戦いがあったと分かった。


 彼女達も不運だな。

 こんな首輪してる時点で、生活は困難だろうけど。



「よく分かった。では次は奴隷になった理由を教えろ」

「えっ……、それはーー」

「ーーなんだテメェは、逃げて来た俺様たちを律儀に奴隷商に返そうってのか?」

「そうじゃない。なんなら君から教えてくれ」



 せっかく脱走したのに、可哀想だ。

 わざわざ先に説明する理由も、なんなら時間もないので適当に言葉を返す。



「……なんの狙いがあるか知らねぇがなーー」

「ーー俺たち全員が、借金で親から売られました」

「おい、なに勝手に言って!」

「分かった。一人ずつ、首を出しなさい」



 まずは、左手で手前の屈強そうな男の首輪を手に取る。

 魔力が循環しているのが感じられるし、この首輪は奴隷拘束用の魔道具の様だ。


 俺は、首輪の魔道具に循環している魔力を抜いて外に霧散させていく。

 完全に魔力が抜ければただの首輪だ。

 水魔術で出した水を鍵穴に溜め、氷結魔法で鍵の形になった氷を回して鍵を開ける。



「な……んで、だ?」

「今確認したが、君たち7人の首輪を外すから、首を出しなさい」



 最初の彼は、外す間ずっと首を振っていたのでやり難かったが、恐るおそる首を出す二人目の男以降は静かだったのでやり易かった。

 それに、男女4人の首輪は魔道具ではない見せかけの、ただの首輪だったので更に簡単だった。

 奴隷の首輪は高価だし、しょうがないか。



 奴隷商人なら正規の方法として、それぞれの首輪の魔道具に対応する解除の魔法で開けるだろうが、

 魔道具を解除する原理なんて基本は全部コレなので、技術と知識さえあれば出来るものだ。


 この人たちは悪い事をした訳じゃないなら、首輪を取ってやって構わないだろう。

 やっている事は奴隷解放だが、奴隷商人が監視を奢った結果、商売道具を失う羽目になっただけだ。



「その首輪だが、そこらの木の下にでも隠しておけ。後で回収する」

「ーー分かった」



 俺は指を指して、彼らに説明。


 奴隷になった理由を説明し、2番目に首輪を外した男がそれに答える。

 その男も含め、色々と驚いている様子がみれるが、構ってたら面倒なのでスルーだ。


 情報収集+数分で心置きなく戦える。って事で無駄な時間を過ごした訳じゃない。

 ここまで全力疾走で若干疲れてたので、戦闘前に身体の体調を万全にして、その呼吸を整えたので良しとしよう。



「あの、私たちはこれからどうしたら……」

「テメェ、わざわざコレを外して何をやらせる気だよ」



 別に、見返りなんて期待してないんだけどな。


 一緒に脱走した仲間だろうし、仲も良さそうなのでてっきり、彼らはこのままスラム街で共同生活でもする気なのでは? と思ってた。



「君たちに、見返りなんて期待してないよ。

 ただ自由にしただけだ。それとも私の奴隷にでもなりたくなったか?」



 あまり、会話で時間を伸ばしたくないので、コレだけ伝えてさっさとスラムの奥に向かって走り進んで行く。


 まぁ時間経過は10分無いか、ほど。

 平民街で遠目から戦闘を観た時、入り口からかなり離れた場所で起こっていて戦闘の爆発。さっきまで止んでいたそれが、また鳴り出した。


 俺は走りながら、音の発生源を探し当てる。

 今度は大きさ的にかなり近い位置で、正面方向から爆発音が聞こえて来る。

 その爆発音を頼りに目指して、そのままスラムの奥へ真っ直ぐ走る。

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― 新着の感想 ―
[一言] 違法奴隷の獣人とかいう設定ならまだしも、借金奴隷を勝手に開放とか見つから無ければ犯罪は成立しないってことですかね?
[気になる点] 誤字がとても多い
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