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2-9.「決行準備」

 俺たちはは部屋に戻り、

 事情を承知のローザに金と宝石を用意させて、俺は護身用の武器を見繕う。


 王宮剣術だと、この件に関係無い人間にも素性がバレてしてしまう。

 今回のミッションは夜の部結構であり、こんな時間に王族が街を出歩いてるなんて知られたら面倒だろう。

 剣技で人物特定なんて、やれるもんじゃないけど。



「あの、殿下は何をなさっているのですか……?」

「ーー今から城を降りる。体の動きも良くなっているので動けるだろう」

「え、明日にしてはいかがですか?」



 事情をいまいち理解できない俺の騎士候補のメルティが尋ねてくる。


 彼女は連れて行くつもりだ。

 俺が万全の状態なら置いていくが、今日は剣士として役に立つだろうし。

 初めての城下で、不測の事態になれば頼ればいいし。



「お前も付いて来い。今夜は予定がある」

「え、う……」

「私は城下に降りるのは初めてだ。さあ、なら目を閉じろ」



 しぶるメルティを無理に連れて行く。

 連れて行くと言ったが、後で周りにバレると不味いだろうし、口止めは忘れないようにしよう。


 そして俺は、彼女の目を閉じさせて、右手を頭とまぶたの上に当て魔力を流し魔術を使う。



「これで少し無理が出来る。私の騎士として私を守れよ」

「殿下……分かりました」



 メルティにかけた魔術は、多少の無理をカバーするものだ。

 本来なら眠り始める時間だし、何もしなかったら眠いし。

 俺にも自分で魔術をかける。


 そこに、戻ってきたローザが俺に声をかけた。



「殿下、サーシャを呼んできました」





 俺は今から、誘拐文の書かれた手紙を信じて初めて城下に降りて、書かれていた義妹を助けに行く。

 俺に、最初の手紙を持ってきたのがサーシャだった。

 なので彼女に、誰から預かった手紙か問いただす必要があるのだ。



「あの手紙は誰から預かった? とんでもない内容だったが」

「あの、伏せるよう言われているのですが……」

「言え。言わないなら王権を使う」

「分かりました」



 彼女に手紙を渡したのは、彼女より立場が上の者らしい。『伏せるように』って事は使用人ではない。



「その手紙は、王から殿下に渡すよう言われたものです」

「なんだそれは。王は内容を確かめずに直接俺にコレを渡したのか?」

「私は知りませんが、手紙の送り主が信用されていたのではないでしょうか? その袋は王家に忠実と言われるセレスティア子爵家の物ですので」

「ーー確かお前の家だったな。気にしていなかったよ」



 サーシャやミゲルの実家から、王にジークエンス殿下に渡してほしいと。そうして俺の手元に届いたと。

 貴族の揉め事なんて、絶対面倒だぞ。


 手紙の中身が変わっていた! なんて事がなかったら、セレスティア子爵家は王家に喧嘩を売ってる事になるのか?

 部下の実家なんだし、複雑だなー。





「殿下。金貨と宝石の用意ができました」

「ありがとう」



 ローザは、俺の命令で金貨と宝石を集めさせた。

 まだまだ俺個人で賄える額で良かった。


 俺たちももう準備は出来ている。

 武器は、アシュレイ姉と同じでセルバータ王国から取り寄せ貰った刀だ。


 前世知識だと、刀のカテゴリは日本刀。

 暗いよるだと目立たない黒い鞘と刀身。

装飾の紐も黒色だが、それには明暗があって。

 黒色だけだけど一色じゃない。って感じ。



「ですが殿下、どこから出ましょうか。城には警備をしている騎士や兵士が居ます」

「屋根を伝って直接外に出る。そこの窓から出れば、城内の兵士の殆どは気付かないだろう」

「えっーー」



 俺たち2人とも外套を羽織り、メルティにはローザから手渡された金貨と宝石が入っているバックを持たせる。

 外套には何かの模様が入っていて、防御力もしっかりあるようだ。


 俺は腰に刀。メルティはいつもの護衛用の剣を下げて、外套を羽織った状態。

 メルティは重いバックを抱えて、俺はメルティを抱えて窓の外に飛び出した。




 いつもの水魔術と氷魔法の合わせ技で氷の作り、それを動かして城の壁を登り、屋根を走る。

 高さがあり安定が取れる場所で街の方向を確認し、静かにそこへ向かっていった。

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