2-2.「守れた人と、得た誇り」
※前話の最後を修正しました。
「ローザさん。私たちが見ていますので、あなたもそろそろ……」
「で、殿下!」
「お兄ちゃん!?」
みんなの驚き方が凄い。
今度は3人の女性だ。
俺を『お兄ちゃん』と呼ぶ妹のリズ以外予想だが、ローザを知っていて俺の世話を任せられる人物なのだろう。
3人ともネグリジェに身を包んでいる。
「メルティです殿下! 覚えていますでしょうか?」
「覚えているよ。それとリズリーと君は?」
「さ、サーシャです! サーシャ・セレスティアです!」
時間は経ち、成長期ですごく可愛く大きくなった。
みんなは、俺が起きた事を嬉しく思ってくれてるのかな。
リズはリズリーと言われてちょっと反応するが、すぐに当てられたのが嬉しかったようで嬉しそう。
メルティは覚えられている事に嬉しさと感動があるようだ。
サーシャはやはり少し残念そうだが、やはり覚えられていて嬉しいのか。
3人とも生地が薄いネグリジェに身を包み、その可愛らしい衣装にも勝る容姿で、その頬を赤らめている。
1人が女騎士で、1人がメイドで、1人が妹だ。
3人はベッドの上で動けない俺の周りに寄り、腰を落とし、静かな時間が過ぎた。
◇
「ジークエンス。起きたのか」
「……あぁ。よかった。よく生きていてくれて……」
「ジーク!」
俺の部屋に仕事途中であろう父、ネグリジェの上に1枚羽織ったセシリア母とその後ろのアシュレイ姉。そしてステイシア母とローザが入って来た。
セシリア母は、俺を見た瞬間から感極まった様子で涙を浮かべている。
アシュレイ姉は、部屋に入ってすぐ俺の元に駆けつけてくれた。
父も言葉からでは分からないが、雰囲気がいつもの王とは違っている。
家族に心配して貰えて、結構嬉しい。
ちなみに俺の今の格好は、先に来ていたメイドのサーシャと騎士候補のメルティに身体を支えられて、座っている形だ。
右にメルティ、左にサーシャで支えられている。
家族でも、王に寝転がりながら会話なんていけないしね。
体は全く動かないから、2人にゆっくりと上げて貰った。
「本当に目醒めたようだな。お前は3年間眠っていたのだぞ」
「はい」
俺はよく生きていたな。
そこまで生死不明の子供を置いておくのができたのは、やはり王子だからだろうな。
「今日はもう眠っておけ。明日の朝に説明に来よう」
「分かりました」
「そしてジークエンス。よくぞセシリアとアシュレイを守った。これから誇るといい」
「……はい!」
父は少し顔を柔らかくしてそう言った。
今は俺が心配されていて忘れていたが、セシリア母とアシュレイ姉には、目に見える傷も大きな怪我もない。
父の言う通り、俺は自分の母と姉を守れたようだ。
これは、今日から俺の誇りの一番大きなものだな。
◇
俺の起床に興奮しているのか、夜だと言うのに皆明るかった。
が、今から俺の覚醒パーティーをやろうって時間でもないし、明日の一日も重要な人達だ。
ステイシア母も言葉をくれたけど、妹のリズとはあまり話せなかったのでまた喋りたいな。
俺を覚えている兵士とか騎士とかに広まれば、どこかで勝手に開いてるかもしれないけど。
まあ、広まらないけども。
「殿下、お疲れさまでございます。」
「あぁ。お前は戻らないのか?」
「はい。私はまだここにいますので」
今この部屋にいるのは、俺とローザだけ。
両親含めて、さっきまで部屋にいた人達は、夜も遅いので部屋に戻って行った。
彼女の言葉は『私はここにいますので、何かあれば伝えて下さい』って事か。
そして彼女は、ベッドの天井を見る俺を見つめたままだ。
「どれくらいで、俺の体は動くと思うか?」
「私には分かりません。ですが歩く程度なら、早くに戻るのだそうです」
「剣の腕を戻すだとか、そこまでは求めてはいない」
この体は、実に不便だ。
今も思っているが、日常生活は困難じゃないか?
主に食事とトイレ。
食事は、今日までこの体が死んでないんだしなんとでもなりそうだが、もう片方はどうしたものか。
「水はあるか? 喉が渇いているんだ」
「はい。」
別にたいして喋ってもないのだが、さっきから喉が渇いている。
口の中はカラカラで、もう水分を感じない。
ローザは、用意した冷水の入ったコップを手に取り、少し口に含む。
そして寝転がる俺に覆い被さり、頬と顎に手を添えて、唇に唇を重ねる。
「ん、……むぬ!?」
「ふぁ……。ジークエンス様……」
「顔を赤らめて言うなっ!」
水分補給はキス込みです。と
白い肌を赤らめ、とろりと硬かった表情を崩す。俺のメイドのローザだ。
彼女は普段からやっているのか、慣れている。
俺はおそらく、コップやこの世界で見ないストローを使っても、体が動かないから飲めないだろう。
悪い気はしないけどさ。
「でも魔法が使え……ぇ?」
「どうしましたか殿下?」
「魔法が、魔術が発動できない。魔力の循環が悪い。眠っている3年間で使えなくなったのか?」
これじゃ不便だから魔法で手足を作り出そうと思ったけど、魔力を回してもスムーズにいかない。
体も魔法も使えなくなっていた。




