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1-幕間:待つ女騎士

※この話はジークエンス視点ではありません。ジークエンスの騎士候補メルティ視点です。

 私の名前はメルティ。

 8年前にジークエンス殿下のただ1人の騎士候補になり、研鑽を積んでいた。

 殿下が外に出られる事は今までに一度もなかったから同行する事は少なかったけど、今日は殿下の護衛の1人のはずだったのに、

 私は、主人となる人を失った。



 あの日、私は何故か眠ってしまった。

 守るべき主人を、1人で行かせてしまった。

 主人をが戦い、私はそこにいなかった。

 惨状を見れば、殿下が攻撃にうたれる代わりの壁にくらいに、ならなれたはずなのに。


 横で、ベッドで眠り続ける主への心からの謝罪だった。



「メルティさん、もうすぐ時間です。ここは任せて行きましょう」

「そうですね」



 ジークエンス殿下の一番のメイドであるエマさんが、私を呼ぶ。

 今の殿下の部屋に入れる者は少ない。

 殿下が、白羽の剣を使った時の壁の破損は完璧に直されて、陛下から選ばれた数名の兵士が室内を見守る。

 今から、陛下が王権を振るわれる。





 現場にいたのは、

 ジークエンス殿下とセシリア妃殿下、アシュレイ殿下とメイドのローザさん。そして3人の敵。

 結果、アシュレイ殿下とローザさんは軽症だったものの、ジークエンス殿下とセシリア妃殿下の2人が重症を負い、そして3人の敵は逃亡した。


 しつこく頼み込んで聞かせて頂いた話では、ジークエンス殿下以外の3名が先に敵の1人目と交戦状態になり、そこ殿下が介入。

 殿下は1人の敵の1人を倒すも、その戦闘でセシリア妃殿下は重症を負う。

 さらにそこに2人の敵が現れ、ジークエンス殿下も重症を負った。


 その後、アシュレイ殿下は交渉により3人の安全を確保し、白羽の剣と魔法で遅過ぎる援軍が来るまで戦った。



 あの時は陛下や妃殿下を除く城のほとんどの人間が眠っていて、それは敵の力だとも聞いたけど、だから援軍は遅れた。



「メルティさん。揃われたようです」

「あ、ローザさん。これは凄い数ですね、貴族の方はこれほど多いのですか」

「ジークハイル王国は人族一の大国ですから。当主は数十人ですが、一代限りの貴族や騎士爵、貴族の家族を含めれば数千人。

 王都の近くだけですが、その数千人のうちの一部が集められたのですから」



 この人の多さに改めて、それだけの国の王城に攻め込んで来た敵の脅威に気付かされる。

 私が生まれるより前に起こった魔人騒動で、王城の守りもだが王都に入る事すら難しいはずだったのに。


 そして今日。

 ここに貴族とその家族達が呼ばれたのは、この中に敵達と繋がっていた者がいないか、探し出す為だ。





 陛下が前に出る。

 数百人の貴族とその家族達。そして騎士にメイドと執事。

 モナーク殿下方も起立して、王の言葉を聞く。



「我が国は魔人騒動以来、負けたことがなかった。未開拓領と魔界への対策、そして残る全ての領地も取り戻した。

 が、先日この城に数名の侵入者が現れた。その中の1人は悪魔を名乗り、相応の実力を見せた。

 この中に、その敵集団と繋がっている者がいるか探し出す!」



 衝撃の言葉に、貴族たちが口々に話し出す。

 そこらから「どうして王城に入れたのか」「そもそも、何故王都に悪魔が入れたのか」「王城は、王都は無事なのか」と聞こえてくる。

 それは誰だって考える事だが、陛下は当主だけでなくその家族まで呼び出したのだ。怒りをにじませながら話を進める。



「リート・モルガンが、その力を代行する。

 王権より『この騒動で敵側と関係を持つ者は、名乗り出よ!』」



 そう、王が叫ぶと数百人を収容している広間は静まりかえる。

 そして、誰も名乗り出ない。

 つまりここにいる誰も、王家を裏切っていなかったという話。


 既にこの話は一部の貴族には伝えられており、この結果に苛立つ者も多い。

 兄弟仲がいい殿下方も、歯を食いしばったりリズ殿下は泣かれていた。

 皆、情報が欲しいのか。



「敵は西の魔界。過去に人間だった、魔人の集団の国と推測されている。

 我が娘により聞き出せた内容だ」



 王は敵を特定したと宣言する。

 アシュレイ殿下が会話や取引から得た情報だろう。

 でも驚きは少ない。魔人騒動のと今回の王城の出来事のどちらも魔界の国が関係しているから。



「我は王城及び、王都の結界の増強に魔力を回している。これまで以上に王都は安全となるだろう」



 恐らくこれは、貴族の家族に聞かせる言葉。

 上級貴族の当主にはもっと違う言葉が用意されているのだろう。





 この日はそれで終了。

 集まった当主方たちは陛下とともに話し合い、大多数の人達は家に戻っていった。


 そして私はまた殿下の部屋に戻って来た。

 剣の実力が必要なのに、主人になるジークエンス殿下よりも遥かに弱い私は、もっともっと実力を付けないといけないのに。



 そして殿下は1年経っても2年経っても、もう3年経とうとしているのに目覚めなかった。

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