1-4.「姉1人、兄2人」
「おはようございます。モナーク兄さま。それにハルトも」
「ああ、おはよう」
「アシュレイ姉さまは今日も早いですね」
2人の(推定)兄は、向かいに座る(推定)姉と喋っている。
話す言葉、声のトーン、表情ととても6、7歳の子供とは思えない。
優雅に言葉を話すもんだから恐縮してしまうが、この喋り方が素なんだろう。
白い肌に金髪と青い眼と、見た目からして兄弟だと分かる。
モナーク兄、ハルト兄、アシュレイ姉か。
この雰囲気だと兄弟仲は良さそうだ。
「今日はジークも早いな」
ハルト兄が俺に気づき話を振ってきた。
「あぁ、ジークは今日で3歳だったな。お前は頭が良さそうだから将来が楽しみだよ」
「そうでしたわね。おめでとうジーク」
「あ、ありがとうございます」
モナーク兄とアシュレイ姉も祝ってくれる。
まあ、複雑だ。
今さっき転生時の記憶が戻って、今自分の名前が分かったばかりなんだから。
というかなんで3歳なんだろう。物心ついた時って事かな?
◇
そんなことを考えている隙に、また扉が開かれた。
「おはようございます。母上」
「おはようございます、お母様」
「おはようございます」
モナーク兄に続いてアシュレイ姉とハルト兄も挨拶する。
「おはようございます」
「みんな、おはよう」
俺が挨拶するのを待ってから、みんなと挨拶を交わした。
この女性が母らしい。
見た目も、白い肌に金髪と青い眼。と、特徴は同じだ。
母が席に着くと、隣の部屋との扉が開き、料理を持った執事が入ってくる。
俺の前には、丸パンと薄く切られた肉、スクランブルエッグ。そして紅茶が置かれた。
兄2人との違いは肉の大きさくらいだが、母と姉はサラダが違う皿に盛られている。
柔らかく、すごく美味しい。
肉なんて、一口噛んだだけで旨味が伝るし、
パンは、どこをちぎっても同じくらい美味しくて、
スクランブルエッグは、塩加減が良かった。
まあ、この3歳のこの体だから、すぐお腹いっぱいになったんだけど。
◇
皆、朝食を食べ終わり、今は紅茶を飲んでいる。
「ジークは、今日からでしたわね。ジークは何が得意なのかしらね?」
紅茶を置き母は俺に言う。
「ジークは頭がいい子だから、魔法を使いこなすわ」
「いいや、私と兄さまの弟なんですから、剣で強くなりますよ」
「あら、それを言うなら私と兄さまの弟でもあるんですよ」
「2人ともやめないか。別にどちらでもいいだろう?」
2人の言い争いをモナーク兄を止める。
俺の将来のことで、何をそこまで言うのか。
「だって……私、ジークに教えたくて」
「私もです」
「2つとも、2人で教えたらいいだろう? アシュレイの剣技は凄いし。ハルトだって、剣技との合わせ技をやってのけたじゃないか」
剣とか魔法とか、ワクワクする響きだ。
また教えて貰おう。また数年後にでも。