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1-39.「試合の後に、燃えている炎」

 兄たちによって張られた結界の中、聖剣の炎がまだ燃え続けている。

 炎は燃え広がり、結界のもう半分をも焼いている。

 兄たちは、傷の回復と興奮からなのか気づいていないが、かなり暑い。

 結界内の熱が出ているのか、モナーク兄が結界を破り再生させた時の結界にヒビでも入っていたのか。



「あの炎を消しに行こうか」

「はいぃ!」



 膝の上で変な声を上げる妹のリズを見つめるが、年頃の女の子が少し変なのは、明らかに人との付き合いが少なくて限定的な俺でも分かっている事なので、首を傾げる程度で済ませておく。

 俺の膝からリズを立たせるが、長いこと変な姿勢で座り続けていたからか、足がグラグラとしていたので少し時間をおいて、手を繋いで炎を消しに行く。


 四方には「いつの間に用意しておいたんだ」と結界を発動させる為の魔道具が置かれており、どこか1方向でも開ければいいのだが、ここは城に隣接する騎士の野外演習場。

 かたや城の壁が3つと、もう1つに俺たちの居る場所と、どこを開いても中の惨事が広がるだけか。

 しばらく眺めながら、俺もモナーク兄のやったみたいに結界を壊してその穴から水を魔法で出してやろうか。


 まず、結界に穴を開ける。

 これまで、結界の一部を破ろうってまたくっ付けようなんて思った事はなかったので、とりあえず物理的に破る事にする。

 ひっ付いてくる妹のリズは後ろ足に回して、外から剣で殴ってみる。

 そうでないと意味がないが、この結界はやはり硬い。

 何か対策を考えるのも面倒なので、壊れるように打ち続けていたら壊れていく。

 硬いのか脆いのか分からないけど、そういうものなのかな?


 手前、正面の破壊した結界の穴では炎が燃えていて、暑い。

 早速俺は、破壊した穴から結界の上部に穴を開けることにする。これでそこから水魔法で火を消せるし、熱の出口ができる。

 用意させた剣を数本使い、4階と同じ高さの結界の1番上の一点に投げ、ぶつける。

 すると数本でその部分は破壊された。

 そしてこの部分から水の魔術を使って大量の水を火に注げば収まるだろう。



「お兄さま、あの穴はどうしたのですか?」

「今あけたアレか? あそこから大量の水を入れるんだよ。今剣で同じ位置に連続してぶつけたから壊れたんだよ」

「す、すごいです。お兄さま」

「そうか、ありがとう」

「はい! すごいです!」



 ここまで連れてきていたリズに、説明してあげる。

 そう思えば、確かに凄いかもしれない。

 だけど、この結界は変に脆いんだな。

 兄たちの攻撃剣撃の余波は耐えて、モナーク兄と俺の剣の直接攻撃と、剣の投擲で簡単に壊れるのはちょっと違和感。

 俺たちの魔力が媒介にでもなっているのかな? だから変に弱いのかな?


 とりあえず大量の水を結界の上で生成。

 少し暑さが伝わってくるし、生成出来る水も冷水というよりぬるま湯だ。

 早速、結界上部のあけた穴からその水を投入していく。

 すると結界内で燃えていた炎の勢いが弱まり、煙を上げる。

 これをしばらく続ければ、暑さも少しは和らぐだろう。



「ありがとうジーク。燃えている炎については忘れていたよ」

「いえ、私が気づいた事でしたので」



 俺の氷結魔法で、暑かった結界付近から冷やしながらリズと一緒に戻ってきた。

 兄たちはやっと興奮状態が解けたのか、結界内の炎のおかげで暑いと気付いたようだった。

 まあ、俺がもう対処したんだけどね。

 とりあえず俺たちも席に戻った。

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