表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/343

1.36.「モナーク対アシュレイの試合」

「しかし先程の攻撃は、意外だった」



 と、勝利したモナーク兄が負けたリズの評価を付けている。

 赤髪の女性と交代するように椅子に座ったモナーク兄は、いつの間に先のように多彩なことができるようになっていたのか。と考えていた。



「魔力収縮をして魔法変更していたのも凄かったが、やはりそれに至るまでの純粋な剣技も素晴らしい」

「あ、ありがとうございます」



 だがとりあえず、自分が負かした相手。つまり妹のリズの、それでも凄かったところを早速語ってくれる。

 涙を拭き終わり目元が赤くなったリズは、そう説明してくれる事に驚きながら、相槌を打っていく。



「間合いを詰めるのが確かに速い。それに、俺に吹き飛ばされた際の受け身もしっかり取れていた。それに、複数の種類の剣技を使えるというのは、しっかりした利点だ。お前がここまで頑張っていたのは嬉しいよ」

「あり、ありがとうございます!」



 言葉に詰まりながらも、純粋に褒めてくれるのに喜びつつ、ありがたく受け取るリズ。

 彼女は用意させた濡れたタオルで汗を拭きつつ、会話している。



「その通りですね。そしてモナーク兄さまを走らせた虚をつく攻撃は流石だったよ」

「ありがとうございます……」



 俺の称賛の言葉には尻すぼみな「ありがとうございます」だった。まあそれはそれで可愛いよ。



「確かに、モナークが裏をかかれてあそこまで驚くなんて、いつ以来だろうな」

「陛下……」

「いい、私は偶然通りがかっただけだ。2人はここで見ていくようだが、私は部屋から見る事にする」



 唐突に登場した国王陛下こと俺たちの父親は、2人に「流石だった」と言葉を贈ると城の部屋に戻っていった。

 そして、残って一緒に観戦するつもりの、セシリア実母とステイシア義母の2人の母親は椅子を用意させて観戦する気満々だ。

 その2人に貴族の女性の礼である、ドレスを摘んでの礼。カーテシーを行うのはさっきまで兄の席を借りていた赤髪の女性だ。

 ちゃんと自分の椅子はあるからそこに座ればいいのに。



「セシリア、ステイシア両殿下。お久しぶりにございます」

「ふふ、お久しぶりね」

「ベルベットさん。会えて嬉しいわ」



 2人の母は、元々友達なのか第1王妃と第2王妃という立場なのに仲良く見える。

 その2人と赤髪の女性のベルベットさん。つまりモナーク兄の許嫁は、話が合うのかそのまま談笑を続けている。

 聞こえる内容はたわいも無い話だ。1つ、俺の許嫁であるガーベラ王女は一緒には来ておらず城にいるって話はしていた。

 モナーク兄は、無自覚にベルベットと母達の会話に入っている。

 皆、和やかな顔だし、これは絵になるな。



「さあ、皆さん。次は誰が戦うかですが、私が闘っても良いですか?」

「ええ。アシュレイ姉様に勝利を」

「頑張ってください」

「お願いします」



 その談笑に興味がないし、加わる気がない俺たちはヒソヒソと誰が次に戦うか。とアシュレイ姉が立候補する。

 4人の談笑は、当たり障りのない話に2人のノロケ話が入っていて聞く気はない。



「では兄さま、早速次を行いましょう」

「あ、ああ。そうしようか」



 モナーク兄は話を切り上げて振り返るが、アシュレイ姉はさっきからずっと外套を羽織ったままで、剣も見えないのだ。

 まだ俺たちにも内緒のような。いつもののほほんとした姉の様子とは違う様に、ベルベットさんは2人の母親と一緒にその戦いを見る事にする。





 2人は対峙する。剣には触れずに軽く、だが警戒して構えるモナーク兄と。目と顔を伏せて表情が見えないようにし、そして全身を黒い外套で包んでいる。

 先程、少し地面が凹んたりしたために今まで地面は整備中であった。

 間合いは先程のモナーク兄対リズの時よりも広く取られており、長剣7本分ほどの間が空いている。

 現れた、さっきと同じで開始を告げる老騎士は、2人の近くまで寄ってきて確認し、開始を宣言する。



 その直後、モナーク兄が剣に手を伸ばすよりも早く外套が剥がれる。

 そして中から見えたのは、特殊な桃色の服装をした姉であり、豊満な胸。の谷間は離れているここからでも分かる。


 あれの違和感は、ドレスのように胸の見える戦闘服なところだけなのだが、桃色。つまりピンク。の生地が重ねられている可愛らしい服に驚き、「なんて格好だ……」なんて皆、ちょっとビックリしている。

 アレはちょっと、ドレスの類だな。


 携えた得物は3本の刀。

 同じ大きさの同じ刀を、右に1本、左に2本の計3本を挿してある。


 皆と同様、その風貌に驚いたモナーク兄は剣に手を伸ばす。

 だが、その手が剣に伸びるよりも早く姿勢を落とし地面を蹴り、一蹴り一瞬でモナーク兄の眼前まで迫っていた。

 手を伸ばすが剣に手が届くまでに間に合わない。

 左に携えた刀の一つを抜き、姉の抜刀術が煌く。





 抜刀術による一閃の剣撃は、そのままモナーク兄を吹っ飛ばした。

 コロコロと最初に取った間合いよりも転がったところで立ち上がり


「『抜刀術の三、近接一点突破 鏡ミ紅(かがみくれない)』」


 カッコいい技名を吐き、無傷だが膝をついたモナーク兄に、勝利した。


 アシュレイ姉の着ていた服は、浴衣をイメージして下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ