1-32.「旅団剣舞(3)」
「ありがとうございます殿下。では、我らの剣舞を始めさせて頂きます」
自分の娘を俺の騎士候補にする事を決めた、旅団剣舞の団長が再度剣舞の披露を宣言した。
一礼して退席した団長と娘が下の階に下り、下にいた数10名の剣士たちと一緒に踊り出す。
「この数十人体制の大掛かりな剣舞こそが、彼らが1番といわれる理由だ。この旅団の目玉でもあるようだ」
彼らが1番と呼ばれていたかはどうだったか知らないし、年齢的に当たり前だが。幼い子供達や、さっき俺の騎士候補になった黒髪少女の剣舞よりも凄い。
個人技でなく、人数を使った表現をしており、1つの作品の如く。だった。
モナーク兄の話だと、他にも剣舞を披露する芸能集団があるようだけど、これはその中でも一流なんだな。
旅団なんて名前に入れているしこの集団は各地を転々とするのだろう。そして騎士候補の少女は『まずは誰か騎士の下について学ぶ』だろうので、恐らく親元を離れる事となる。
話が進み撤収することになった『旅団剣舞』は、黒髪少女を含む全員が城から出て行った。
恐らくは今日からしばらく家族に会えないだろう。あの子は最後の夜は楽しく迎えれるといいな。なんて考えながら玄関ホールまで移動して城門から出発する場所を見ていた。
あ、名前聞くの忘れてた。
まあ、明日にでも聞けばいいかな。
今日の夕食後イベントなんて初めてだったのでいつも眠っている時間だし眠い。
騎士候補が決まって、団総出での演技が始まりるとそろそろ緊張感が解け始めて少しずつ眠たくなってた。
それに気づいた兄たちは、俺を先に部屋に返してくれて、俺は寝る。
今日は生まれてきた妹を見てきて。姉と魔法を見せ合って。騎士候補を選んだ。
少し濃い1日だったけど、それはそれで楽しかった。
はぁ、寝よう眠いし。
◇
翌日だ。
いつも通り父がいない朝食を終え、とりあえず部屋に戻ってきた俺に1人の子供が紹介される。
「ジークエンス殿下。今日から騎士候補のメルティです」
昨日剣舞を披露し、晴れて俺の騎士候補になった黒髪少女ことメルティちゃんが俺の部屋に通されていた。
身体に合った小さい服を着こなしており、黒髪は肩でバッサリ切られており、瞳は紅寄りの赤色だ。白みの肌に黒髪も紅眼も似合っており、寝ぼけ眼が少し入ってた昨日より可愛く見える。
将来楽しみなので、できれば顔に傷は付けないでほしいなあ。
婆やからもメルティの紹介があり、今日から中年の女騎士に付いて学ぶそうだ。
年齢は同じ3才。ちょくちょく顔は見せに来るそうなので、成長を期待したいな。




