1-27.「アシュレイ姉の魔法」
「さあ、入ってきて」
「はい」
連れて来てもらったアシュレイ姉の部屋は、俺の部屋とはかなり雰囲気が違う。
床の上には、雑多に本が積まれており、少し怪しそうな雑貨が置かれている。
立て掛けられた箒や積まれた宝石。何のかは分からないが骨に、宝石とは別に積まれたら濁った色の宝石。
床に敷かれた絨毯でさえ紋様が幾何学というか、特徴的だ。
そしてベットがない。
ソファーやベットのような日用家具がない。
姉はベットで寝ずに、地面で本でも読みながら寝てしまうのかな。
絨毯があるといっても、そんな生活は不健康だろうけどな。
「ふふ、ジークは、私がこの部屋で生活してると思っているでしょう? この部屋は私の魔法の研究の為に用意してもらった部屋なの。いつもは隣の部屋のベットで寝ているわ」
「そ、そうですか」
姉に、俺の考えていたことを見透かされて驚いたが、当然の疑問に事前に答えただけだと考え、話を続ける。
「ふふ、やっぱりジークは頭がいいわね。私の魔法の1つ『神通力の他心通』でジークの考えている事を少しだけ読んだのよ。
あ、でも安心してね。心を全部読まないように特訓したから、ジークの今考えている事の少ししか分からないようになっているわよ」
「そうですか」
姉の魔法は中々に強い。俺の使える魔法とは、強さから何まで違う気がする。
よし。「魔法の1つ」って言っていたけど、アシュレイ姉は他にどんな魔法を使えるのだろうか。
「『私が他にどんな魔法を使えるか』って考えていた? 教えてあげる。のでジークも、自分の魔法を教えてちょうだい」
「はい」
「まずはさっきも言った『神通力の他心通』。
使えば何を考えているか分かるのよ。
2つ目は『炎魔法』で、
そして3つ目は、『極彩色の抜刀術』なの。
この魔法を使えば、抜刀術を使えるのよ。
他心通は今やって見せたから、炎魔法と抜刀術はあとで見せてあげるわ」
アシュレイ姉の言葉に頷き了解すると、姉が話してくれた。
姉が自分の魔法を紹介して、しかも見せてくれるらしい。
姉の教えてくれた魔法の中に、魔法の名前っぽくない『抜刀術』なんて気になったけど、
それに加えて、人の心を読める『神通力の他心通』が、生まれつきの能力としてあったのか。
物騒というか、強そうだよな。
「ほら、あとで見せてあげるからジークも、自分の魔法を教えてよ」
「はい。私の魔法は『氷結魔法』と『召喚魔法』と『残機』で、残機は何か分かりません」
「そう、メリアスも知らない魔法ね」
聞き役、受身に徹するのは安全対策だと思っているので、
簡潔に、会話が続かないように説明する。
3歳児の話す内容じゃなかいと思うけど、別に姉にしか聞かれてないだろうから大丈夫。
姉と俺と一緒に部屋に入ったのは、アシュレイ姉の専属メイドと執事の5人に俺の専属メイドの婆やとローザ。さっきはいなかったミゲルとサーシャの兄妹の、合計9人。
姉も合わせて10人。
同じ部屋の中にいたが、メイド達は壁際に下がっており、俺の考えてることが分かり頭がいいからだと考えてくれている姉にだけ、聞こえるように話した。
「残機が何かは分からないけど、氷結魔法も召喚魔法も便利よね。私の魔法を見た後に、あなたの魔法の話もさせてね」
「はい」
今だに『残機』の魔法はよく分からないけれど。この部屋の内装と、さっきの話の内容からかなり魔法に詳しそうな姉も「メリアスでさえ…判らないのね」みたいな感じだったので、メリアスは魔法についての知識人なのかなって。
「婆やたちは離れていて、2人きり。なんだか、いけない事をしてる見たいね」
「……え?」
「では、ジーク。あなたに私の魔法をみせてあげるわ」
不意に、唐突にそんな事を言われたもんだからビックリして「え?」と返したけど、驚いたな。
姉はそんな俺をスルーして、早速魔法を見せてくれるみたいだ。




