1-25.「生まれたばかりの妹」
「モナーク兄さま、まだ生まれた妹には会えないのですか?」
「あぁ、あの子は生まれつき身体が弱いみたいだからな。私でも、名前を教えられていない」
義理の妹が生まれてきて数日時間が経っているというのに、モナーク兄を除く俺たちは新しい妹の姿を見たことがない。
というのは、生まれたばかりの妹の身体が弱いからであり、落ち着いたら王と一緒に妹を見ることになっている。
「それは、また教えてくれるらしい。その話より『旅団剣舞』だ。父上は3日後に王城に来ると言っていた。私たちだけで対応しろとはどういうことなのか」
「将来の為ですよ。いずれはモナーク兄さまが国王になり、父上のやられていることを受け継ぐんですから」
「……それだな。上手く出来るか分からないが、ジークが騎士候補を選ぶんかも知れないのだからな。ジークも気になる剣士がいたら私に言いなさい。問題がなければ私が騎士候補と認める」
父は王の仕事と、身体が弱く生まれた娘とその母で俺たちの義母についているので、最初の数日会ったっきり顔も見ていない。
それなら俺の騎士候補決めなんて、後で遅らせたらいいのに、それをしないのは、王位継承権第1位のモナーク兄に少しでも経験を積ませる為か。
話が終わったところで、母が食事を切り上げた。
◇
3日後。最近は、
魔法の訓練で、なかなか最初から使うことがなかった氷魔法の行使。水の魔術で水を生成して規模を大きくしたり、剣の形にしてみたりと多芸な氷魔法の用途を考えてみたり。
剣技では、王宮剣術の戦い方や老騎士を相手にしての実践訓練。老騎士も本気で俺を殺そうという話ではないので、怪我をしない訓練用の【無傷剣】という真剣で戦う。
俺は才能も凄いが、地面に転がった時にできる擦り傷や切り傷で、泣き出さない事に驚くようだった。
そして今日は俺の騎士候補を選ぶ日だ。
俺は剣の才能があるらしいけど、いつも気を張っているのは嫌なので、是非使える騎士になりそうなのを選びたい。
そう考えながら、メイドと執事に着替えさせる。
「殿下、今日の朝食後に陛下の元に集まるようにと。先日お生まれになった妹君と会わせるとの事です」
今日の予定は、朝食後に生まれた妹を見て、空き時間。その後昼寝をして、夕食後に『旅団剣舞』で騎士候補を選ぶ。
早く妹に会いたい俺は、さっさと食卓へ向かう。
可愛いだろうな、髪は、瞳は、どんな色なのかな。
今日、自分の騎士候補を決めるかもしれないけど、そんな予定よりも、妹に会えることの方が何倍楽しみだ。




