1-23.「3人の専属使用人」
「失礼します」
そう言って入ってきたのは、2人の小さなメイドと1人の執事だ。
それぞれの衣装を着ていて、身なりは良いがあまりに子供すぎる。
「紹介します。左からスペンサー伯爵家の4女『ローザ』。セレスティア子爵家の3男『ミゲル』次女の『サーシャ』です」
婆やに紹介されて全員がそれぞれ礼をする。
女子はメイド服をつまみ、男は胸に手を当てて頭を下げる。
「分かった」と婆やに応じて3人を観察する。
貴族家の子供。俺と似たような生活をしていただろう子供。しかも、まだ言葉を喋れるようになったばかりだろうに、今日から俺の専属使用人として働くのか。
3歳の俺と背丈が変わらない彼らに、何が出来るか知らないけど頑張って働いて欲しい。
でも、新品のメイド服から解るようのだが、実践経験があるとは思えない。王子の俺でも礼儀は教わっていないので、今はせいぜい遊び相手かな。
「あなた達は今日から私の部下でもあります。共に励みなさい」
「「はい!」」
「では、殿下ーー」
3人は婆やに元気に応じて、俺は今日もメリアスに魔法を学びに行く。
婆やと、新しいメイドと執事が俺の後を付いてくる。
その後、3人は魔法や剣の訓練を初めてみたのか「わあ」やら「おおー」やらと感嘆の声を上げていたが、「声を抑えなさい」と婆やに叱られていた。