1-22.「10日たち、専属メイドが来る日」
「ジーク。今日は貴方の新しい使用人が来る日ね。同年代の貴族家の子ですし、仲良く出来そうね」
初めて魔法や剣を使った日から、今日で10日ほどたった。
今は母、兄姉と一緒に朝食を食べ終わった後の紅茶の時間だ。
魔法も剣技も、同じことの繰り返しだったが、日に日に成長を感じるので新鮮な気分だった。
『残機』の魔法はいまだに分からず、白羽の剣を振るうにもまだまだ早い。
今日は、専属の同年代の使用人を紹介される日だ。
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魔法を教えるメリアス・フル・バーディと、
剣技を教える老騎士 レイス・ブランドー卿の、俺の才能発言の撤回はなく。
魔法と剣の、2つの才能があると分かった。
ちなみに2人のフルネームは、会話の中で分かったものだ。
魔法の講師はいつもメリアス1人で、魔術の行使やら、魔力を循環させる訓練やらを毎日やっている。
体内の魔力操作が上手くなっているのを感じていて、メリアスも目を見張るほどだ。
流石に子供は成長が早い。
剣技は、毎回たくさんの兵士が訓練を見張っていている中行う。
小さくても練習に使うのは両刃の剣で、将来使う俺の『白羽の剣』を意識しているのが分かる。
毎日、周りの兵士達が俺に聞こえる声で、
『聖剣を与えられるのは殿下ではないか?』とか、
『将来は魔人に勝利するやもしれん』だとか、
『私は勝てる気がしない』とか
と、褒められるもんだから、『俺にはそんなに飛び抜けた才能があるのか?』と考えたが、王子という地位的に持ち上げているだけだろうと、とりあえず無視しておいた。
それより、王城にいる兵士なんだから、子供に勝てる気がしないのはダメだろう。
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と、この10日ほど、楽しく成長している日々を送っている。
そして、今日はモナーク兄にも居た同年代のメイドや執事が紹介される事になっている。
「美味しかった」と母が食事を終わらせて、俺たちは部屋に戻る。
◇
「殿下、よろしいですか?」
「ああ」
「今から新しい専属メイドたちが来ますが、彼らはまだ子供です。私も殿下専属のメイドとして、まだまだ殿下をお支えしますので」
「ああ」
部屋に戻ってきて、婆やがそう言ってくれる。
新しいメイドや執事と言っても、俺と同年代の貴族の子供だ。婆やより優秀だなんて思っていないので、婆やが残ってくれるのは嬉しい。
「殿下、先に顔を見せておきたいので、しばらくお待ち下さい」
1度、扉の外を見た婆やが俺にそう言うので、今日はメリアスに魔法を教えてもらう前に、俺の専属メイドたちに会っておくことにする。