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4-23.「舞踏会にて面会する」

 部屋付きのメイドとローザが話す元々の面会予定と、俺の希望との相違点はあまりなかったので希望者の選定はすぐに終わった。

 そして俺は選ばれた者達に面会許可を伝えるようメイドに言い渡して、ガーベラ王女やローザ達と共に舞踏会会場へ戻った。


 俺たちは4.50分程度会場を離れていたり。


「ジークエンス殿下!」


 会場に戻って来た俺に、聴き馴染みのある男声が声をかける。


「ミゲル、どうかしたか?」


「はい。私も彼女達との踊りを十分に楽しめましたので殿下の元に戻って参りました」


 話しかけたのは俺の執事であるミゲルであり、その後ろに彼を誘ったユーリン・スカッチ嬢がいる。

 そして更にその後ろの令嬢がこちらを見ている。彼女達も彼を狙ってたっけ。


 ミゲルが踊った彼女『達』に含まれる人達だろう。

 だからなのかユーリン・スカッチは不機嫌だ。取り繕っているけど俺なら見て分かる。


「ではお前たちはまだ夕食をとっていないのか?」


「はいーーしかし別室で立食形式での夕食が振る舞われているとの事ですので、そちらで済ませておきます」


 彼は俺の言葉を『先に食事を済ませてしまえ』というメッセージと解釈したみたいだが間違いだ。

 俺がローザに目を向けると彼女は頷いたので、同性としてお節介を焼いてやろう。


「急ぐ必要はないぞ。用意されているだろうからお前たち2人で、私たちが先程まで食事をとっていた部屋で夕食にしてみてはどうか?」


 俺の話を聞いたミゲルは少し悩んでいる様子で、ユーリン・スカッチは自分も含まれていると気付いて驚いている。

 俺から彼女に贈る恋のチャンスだ、頑張って彼との関係を深めなさい。


 そんな思いを含んだ視線で2人を見る。


「分かりました。殿下の御言葉に甘えさせていただきます」


「感謝致しますジークエンス殿下」


 そう言い礼をとる2人の応える。そしてこの舞踏会会場から、夕食が振る舞われる例の部屋に向かうのを見送った。

 今夜の俺に面会したり踊ったりする以外の予定はないので、お前たちは気にせず2人きりの時間を楽しみなさい。





「お初に御目にかかります殿下、私セルキア子爵家次期当主のローレンス・セルキアと申します。本日は婚約者のランムーティアと舞踏会に参加させていただきました」


 俺がミゲルを送ってすぐ、連絡を聞いて駆けつけたという『ローレンス・セルキア』と『ランムーティア・ヴァン・レッサー』の2人が面会の為やって来た。


「お初に御目にかかります殿下。ランムーティア・ヴァン・レッサーと申します」


 立ったまま俺達2人に礼を決めるローレンスとその横でカーテシーをとるランムーティア。

 王子と貴族の子息の面会といっても、これから行うのは舞踏会に相応しい立ち話だ。


「第三王子のジークエンスだ、2人とも成人おめでとう」


 この言葉に驚く両名。

 自己紹介直後の成人祝いの言葉に驚いたのだろう、もしくは先に祝われてしまったという焦りか。


「そしてこの方が私の婚約者のガーベラ様だ」


「はじめまして。ジークエンス様の婚約者のガーベラ・イルシックスです」


 4人全員自己紹介を終え2人から話を始めるのを待つ。

 ローレンスとランムーティアは俺が面会を受けた5人のうちの2人。このうち2人は俺と関係がある家名の組合わせだったので、話の話題にもなって良い良い。


「ーーありがとうございます。両殿下もご成人おめでとうございます」


 彼に続いて祝辞を述べたランムーティアの言葉。

 変に緊張しているのは身分差からか、初対面の未知故か知らないけどここで話を区切ろう。

 会話相手のローレンス・セルキアが話を始めないので、緊張を解く意味を込めて話題を振ってやる。


「お前とは初対面であるがセルキア子爵家のメイカル・セルキアと面識がある、先日はよく案内してくれたと伝えておいてくれ。

 それと、お前たちは舞踏会を楽しめているか?」


 『ヴァン・レッサー・アルレイドは我が国の宰相を務めてくれている』という話題も振ろうかとしたけど、件の宰相とはあまり面識も無いのでやめた。


「ーーはい、この度の舞踏会に参加させていただいて王家の、そして我が国の偉大さを再度理解致しました」


「それは王家の者として嬉しいな」


 中々熱く語ってくれるローレンス。


 その後も『今日初めて王城に訪れた事』や『この城で体験した事』などいろいろ、王城に住んでいない者と会話ができて俺も面白かった。

 たまにランムーティアやガーベラ王女が混ざってくれたから、互いに会話にも飽きずに最後まで話せた。





「私ばかり話してしまい申し訳ございませんでした、しかし殿下とお話しする事が出来て嬉しかった」


「私お話できて嬉しかったてす、ありがとうございます」


 それからかれこれ3分くらい話して面会は終了。会話内容は互いに我が国のことを語ったくらいだったけど、俺も楽しかったよ。

 そして最後に俺とガーベラ王女に感謝を伝えた2人は、舞踏会会場から去る。

 食事に向かったか帰ったかのどちらかだろう。


 そしてこの後間髪入れずに次の面会希望者の2人が登場する。

 あの男女も先程の2人と同じく、アシュレイ姉様が説明して下さった参加者のゼロール・ネイブルとマーロン・キシアだ。

 2人は近付くと礼をして名乗る。


「お初に御目にかかりますジークエンス殿下、私ネイブル侯爵家のゼロールと申します。そしてこちらは私の婚約者でありセルバータ王国キシア侯爵家のマーロンです。面会の申し出を受けていただき感謝いたします」


「感謝申し上げます」


 先の2人と同様礼をする。

 しかし彼らはネイブル侯爵と共に王城入りしたのに2人だけとはーーいや、思えば父様は俺に期待しているとの言葉が嘘かのようにこの会場には大人が、参加者以外の大人が少ない。

 今夜成人した者ばかりだ。


「ジークハイル王国第三王子のジークエンスだ。そしてこちらが私の婚約者のイルシックス王国のガーベラ様だ」


 自己紹介&婚約者の紹介を終えた俺達に、ゼロールとマーロンは挨拶をして返す。

 そしてこれからが話の本番。

 結局俺も何の話題から話そうかと考えていたけど、先に話題を振ったのは向こうから。


「私の家は侯爵家なのですが私が王城へ入ったのは今回が初めなのです、そしてその特別な時をマーロンと体感した事に大変感動しております」


 微妙に言い方が違うけどローレンスに続きゼロールも、今日初めて訪れた王城にについて語る。

 『王城に住んでると他の貴族と出会わないなあ』と俺も今まで思い続けていた通り、上級貴族の子息でも今日まで王城に入った事はないみたい。

 そんな俺たち4人はこの後も語り合った。

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