1-17.「魔法と魔術」
「美味しかったわ」
母の言葉で、食事を終えて部屋に戻る。
今日から始めるらしい『剣』と『魔法』。
初日は、何から始めるのだろう。
「剣と魔法はいつからだ?」
「はい。『神殿に来るように』言われておりますので、朝から魔法を始めるのでしょう」
「そう」
婆やに聞いてみたらそんな答えが返ってくる。
ということで、やる事もなかった俺は、速攻、神殿に向かった。
神殿の扉の前。
兵士が扉の両脇に立っており、中へ入る。
「あ、おはようございます殿下。お待ちしておりました」
中にはメリアスがおり、俺に軽く頭を下げ、挨拶した。
◇
「初日ですので、まずは魔法が何なのかを説明します」
「ああ」
用意されていた椅子に座り、メリアスの話を聞く。
ちなみにこの神殿の中にいるのは、俺とメリアスと4人の兵士と2人のメイドと執事が1人。
ここは空気が透き通ってるのか、声もよく通っている。
「魔法とは、『魔法』と『魔術』の2つの事を指します。私はこの2つを教えます」
「ああ」
「まずは魔法と魔術の違いです。
魔法と魔術とは別のもので、違いがあります」
「人が生まれつき持っている力。であり、
神の存在にあてられた力。を『魔法』といいます。
『魔法』の数は生まれつき決まっており、増えることも減ることもありません。
『魔法』は『魔術』よりも強力でありますが、
神にあてられた力でしかない『魔法』は、神から与えられた『権能』には、規模も効力も大きく劣ります」
メリアスの話によると、権能>魔法>魔術みたいだ。
権能は、確か王権がそれだったはずだ。
そして、魔法は先天性の能力だと。
「魔法は、ほとんどの人が持ち合わせていますが、生まれつきの力しか使えません。
魔術は反対に、生まれてから得る力であるので、万能に、沢山の能力を使えます」
「ですが、元々は『固有の魔法』を真似て作られたものが魔術であるため、
魔法から作られた、汎用性があり誰でも使うことが出来る魔法の下位互換。と言うのが魔術なのです」
「端的にまとめると、
・魔法は魔術よりも強いけど、使える種類は生まれた時には決まっている。
・魔術は魔法よりも、沢山の種類を使えるが、効力は弱い。
という事です」
「分かった」
メリアスが分かりやすく、話をまとめてくれたのでよく分かった。
『先天性の魔法』と、『後天性の魔術』を使うのか。
俺は転生者で、天使に祝福されていて、そして王家の生まれなんだし。
生まれつき凄い魔法を持っていた! とか、期待するよな。
「では、殿下」と言うメリアスに反応する。
「ほとんどの人が持ち合わせている魔法ですが、これは確認しないと分かりません。この神殿で、殿下の魔法が何なのかを確認いたします」
説明は美女に任せます。