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4-9.「『成人式』」

 今日は俺の成人式だから、今朝の朝食は特別な料理が出されるのかなと思っていた。


 そして俺達全員の前に出されのたのは何肉かのステーキにトマトスープにフレンチトーストと、珍しい訳ではないが全員同じメニューだった。

 肉料理は昨夜とはまた味付けが違っており美味しくて、厚くふわふわなフレンチトーストは朝食ではあまり出ないメニューだけどみんな美味しそうに食べていたのだ。


 紅茶飲みながら朝食の味を噛みしめ、皆の完食を待つ事約5分。味わいながら最後にトーストの一切れを食べ終えた父様が食事終了を宣言する。

 そして左手前に座る俺に目を向け、口を開き話し始める。


「この後ジークエンスは司祭服に着替え、私の送る遣いと共に1人で神殿まで来なさい」


「分かりました」


 俺の答えを聞いた父様は席を立ち、続く母様達と共に退室した。


「私もリズもガーベラ様も、王家の神殿で先にジークを待っていますからね」

「はい!」


 アシュレイ姉様とリズの言葉に「はい」と答え、2人が退室するのを見送った。

 相変わらずリズは朝から元気が良い。


 そして部屋に残っているは俺とガーベラ王女とその側近くらい。

 父様が退室する前の口振りからして今日の成人式は、割と早い時間から行われるのだろうかどうなのか?


「この後成人式が行われますがガーベラ様は今から神殿へ向かわれますか? それとも一度部屋に戻りますか?」


 彼女がそのまま神殿向かうなら側近に任せるし、一度部屋に戻ると言うなら彼女の部屋まで送るけども。


「あの、ジークエンス様は今から司祭服を選びにセシリア様の隣の部屋に向かわれますか?」


「えぇ、そうですよ」


「なのでしたらご同行させて下さい。私も別のドレスに変えようと考えておりましたので」


 ならば共に行くほかあるまい。


「では共に向かいましょう」


 俺はガーベラ王女の手を取り部屋を出て、ローザ達を引き連れてセシリア母様の部屋の、隣の部屋に向かった。



 部屋に到着して、それぞれの衣装を見繕った俺とガーベラ王女。


 勿論俺は司祭服を選んだのだけど、ガーベラ王女が選んだのは祭事ようで特別なドレスだった。

 色濃い白で着色された礼服のようで、ドレスというよりオーバーコートっぽさがある。それをメイドであるレイランに持たせて2人で部屋に戻る。


 ちなみに俺の司祭服は縁起の良さとかも考えて、新品で清潔真っさらな白色を基調としたものを選んだ。服はローザが預かっている。

 同じ意図だったかは分からないけど、ガーベラ王女と同じカラーとなっている。


 セシリア母様の部屋からガーベラ王女の自室に戻るには5分.10分くらいの時間がかかる。


「王家の神殿には私一人で向かいますから、ガーベラ様は先に神殿に向かっていて下さい」


「分かりました。ではお先に王家の神殿でお待ちしております」


 彼女の部屋の前で、一時の別れの言葉を交わす。

 アシュレイ姉様が『ガーベラ様も先に王家の神殿で待っています』と言っていた通り。


 その彼女が部屋に入ったのを確認したら俺も3つ隣の自室に戻る。


 そして部屋に戻ると早速、サーシャが椅子を用意したそれに座る。

 するとローザとサーシャが俺の服を脱がして、元々着ていた下着の上に専用の服を着用して、更にその上に司祭服を被る。


 今日はアクセサリーで飾る必要はなし。

 司祭服に着替え終えた俺は父様の遣いが来るまでソファーに座り、今夜の舞踏会について考えながら待機していた。



 待機を始めてから10分くらい経過しただろうか。

 これから始まる成人式に備えて身の回りの準備を済ませていたらちょうど、俺の部屋の扉が開かれる。


「入室失礼致しますジークエンス殿下。

 ジークエンス殿下には陛下より『それが案内する部屋に向かいなさい。そして万が一の時の為に護衛を付ける事を許可する』との言葉を預かっております。

 ですので早速私に着いてきて下さい」


 王の遣いが来た。そしてこれからこの王の遣いが案内する部屋に向かう。

ーー今から向かうのだけど、俺の待ち時間が短くて成人式の準備が整っているかが心配だ。


 俺は護衛にメルティを選んで部屋を出て、王の遣いに連れられ神殿方向に向かって歩く。


 父様は『遣いと共に1人で神殿に来なさい』と言っていたが、俺が王子だと思い出して安全面を考慮したのだろう。

 メルティが居なかったら俺と王の遣いの2人組だったので、メルティを護衛につけたのはナイスだ。


 そして俺が案内されたのは、王家の神殿ではなく神殿に一番近い普通の部屋だった。

 まさかここで待機?


「ジークエンス殿下はこの部屋で、その名前が呼ばれるまでお待ちください」



ーー俺が神殿に一番近い部屋で待機と告げられて、そこから10分程度の時間が経過した。


 部屋の中は静かで、そんな空間でやれる事と言ったらメルティを話し相手にする事くらい。俺は彼女と話しながら呼ばれるのを待っていた。

 すると部屋の扉が開かれる。


「ジークエンス殿下! 王家の神殿へお入り下さい」


「あぁ分かったよ」


 結局合計20分程度待った俺は立ち上がると、メルティを部屋に残して待機室を出て王家の神殿へ進む。

 神殿に差し込む光が十字を切って照明の代わりを為しており、父様・セシリア母様・ステイシア母様・アシュレイ姉様にリズとガーベラ王女の6人が俺を待っていた。

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