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4-3.「天使の話」

 女性天使3名は父様と俺の立つ位置から少し離れた所にいる。

 ジークハイル神の話が途切れたので視線を正面神から天使に向ける。


「付いてきなさい」


 一瞬で俺達の近くまで寄った一名の天使はそう言うと、既に先程の位置から離れていた他二名の天使に続いてジークハイル神から数歩離れる。

 そして天使達は立ち止まり、父様と俺を一度見てから話し始める。



「ジークハイル神様より御言葉は以上です」


「そして貴方達に伝わるべき情報は今から天使である私達が話しましょう」


「内容は主にジークエンスの話です」



 父様はその言葉に言葉を返さず黙って続きの言葉を待っている。俺はそれに倣い、心の中で「理解した」と言って話を聞く。



「初めに両名気にしている『過去の一生と来る魔性』についてです」


「見る分には構わないけど、ジークエンスに命の危機がありますから『神通力の宿命通』を使用し前世を体感するのは控えなさい」


「『過去の一生』は貴方の前世。そのうちの幾つかに、宿命通の魔法を伝って貴方を殺害や成り代わりをする可能性のある人生があります」



 俺の『神通力の宿命通』は実はかなり危険な魔法らしい。



「神々と天使達は有名な前例を知っています」


「更にその魔法の発言は特殊です。そしてその魔法は魔王へ転生してしまう可能性」


「原則として『神通力の宿命通』の発動は神と天使に許可を取り、神々と天使達の目が届く場所で行いなさい。

 そして、危険性があると判断した前世の体験は禁止とします」



 この前一度だけとある前世を体感してみたんだけど、生誕前の感覚が気持ち悪くて途中でやめた。

 この時もし、俺を殺す可能性のある前世を選んでいたなら俺は死んでいたかもしれなかったという事なのか。


 その危険性は既に死んだ人間が来世以降を生きる人間に干渉して、殺したり成り変わったりする事。

 俺は『神通力の宿命通』の能力について探り探りだが、神々や天使達はその能力と危険性を知っている。


「分かりました。しかし私は自身の魔法の事を余り知りません、ですから魔法の詳細を教えてくれませんか?」


 今回は父様が居るので前回前々回とはうって変わって敬語を使う。

 隣にいる父様も肝心があるらしい。



「ジークエンスの考える通りの内容です、それに先程説明した危険性を付け加えなさい」


「自身の前世を見る。体感する事が出来る魔法です」


「神通力の中でもこの魔法は慎重に扱いなさい、そしてこの情報自体も機密情報として扱いなさい」



 天使達の言葉に「理解した」と答えた父様。



「次は『来る魔性』の話ですけど。説明が要らないくらいそのままね」


「迷宮と魔界から悪魔と魔人。そして多くの魔物達がジークハイル王国領土に攻撃を仕掛けます」


「あとジークエンスの結んだ契約は一部で意味を為さなくなるから、大きな損害を被りなくないなら契約は考慮せずに迷宮都市と国境付近に気を配っていなさい。」



 ……物騒な話だ。

 天使から話を聞いた父様の顔は眉毛は細まり、奥歯を強く噛んでおり明らかに強張っている。


 俺はもう少しで迷宮都市を含む領地を治める様になるのだけど、実際にその迷宮は見たことがない。

 しかし迷宮に大量の魔物が出現するのだろう、もし魔物の処理だけなら領主の俺は大きな力になるだろう。


 多分迷宮都市は大丈夫。その他の場所は王である父様に悩んでもらって良いアイデアを出して貰えばいいか。



「それと悪魔が『神通力』を蒐集していた事だけど、ジークハイル神様が直接対応しますから貴方達が無駄に干渉する必要はありません」


「この話で貴方達と話す話題も無くなりました」


「では私達から成人する貴方に」


「「「 ジークエンス貴方に祝福を 」」」



 神通力を蒐集していた悪魔の話がなされ、その話題のあと俺は成人祝いに女性天使3名から祝福を受けた。


 いつもならこのままこの空間から離れる頃なんだけど、今回は父様も含めてまだこの空間に止まっていた。

 どうやって帰るのかと父様を見るとその時、上からジークハイル神の声が聞こえる。


「ジークエンスリートそしてリートモルガン。明日のジークエンスリートの成人に神として祝福を贈ろう、お前の人生を見守る神の祝福を」


 その言葉の後に身体で感じる暖かい光の様ななにか。恐らくこれがジークハイル神から祝福だろう。


「ありがとうございますジークハイル神様」


「ありがとうございます」


 父に続いて感謝の言葉を告げる。

 そしてその後一瞬にして視界が暗くなり、それを自覚した時に意識が途切れた。



 意識が途切れた感覚を体感した。


 それを理解した時には既に、視界に映る景色が神や天使の居た空間ではなく王家の神殿の中だった。

 どうやら俺の精神は無事戻って来れたようだ。

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