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4-2.「神の言葉」

 俺の眼前にはジークハイル神がおりその周囲遠くには天使が見える。

 再びこの神と天使の居る空間に来たわけだ。


 感覚で言えば前回訪れたのは1ヶ月くらい前の話なんだけど、実際は3年前の話だ。

ーーあれ? 地上とこの空間は3年の時差があったはずなのに、俺達はこんな所に来てよかったのか?


 右隣に立つ父様を伺うもその表情は変わらず平然としている。

 慣れている、これが初めてではないのだろう。


 すると俺が体感した3年の時差と明日以降の予定に齟齬と矛盾が生まれるし、3年間国王及び第三王子不在という期間が生まれる可能性だって生まれてきて……。

 兄様達や姉様も経験しているなら安心なんだけど、不安だ。


「その心配はありませんよジークエンス、建国記の序章を知っているならその可能性を知っているはずです」


 心が読まれた。

 誰かと声がした正面を向き直すと、1名の女性天使がいつの間にそこに居る。


 その天使から一昨日聞かされた『建国記』にヒントがあると言われれば

 建国の王モナーク・フラムカル王がジークハイル神と直接対面し契約した後、時間経過無く地上に戻ったエピソードだろうか。

 確かに天使さんのいう通り、父から語られた建国記は既に俺が体感した時間経過の例外となっている。


 そんな事を考えていたら正面奥から2名の女性天使が勢いよく迫る。

 少し記憶が曖昧だけど最初の天使と一瞬で距離を詰めた天使の3名は、過去この空間の俺を案内してくれた天使さんのはずだ。


「リート・モルガンとジークエンス・リートですね、久しぶり」


「ジークエンスの考えは正解ですが、よく記憶できていましたね」


「そうでしたら早々に本来の目的は終わらせてしまいましょう、付いて来なさい」


 3名が揃うと俺達を囲む様に半円型の位置に立って一言ずつ要件を話す。そのあと体をジークハイル神の方へ体を向け、俺達を背にして大神の元へ行く。


 この美しい天使達と俺は縁があるみたいだ。

 父様と俺もその後に続き、巨体のジークハイル神の元へ歩みを進めた。



 歩いたのはたった10歩だけ、天使の彼女らが元々居た付近と比べると遥かに神から遠い。


 だがしかし。いくら歩いてもジークハイル神の足より上は確認出来ないので、これだけの体格差ならいくら距離を詰めても変わらないはず。

 距離を詰めるという目的で歩いた訳ではないのだろう。


「この空間に来てすぐの貴方達が、その位置ですぐ神と会話をされては不敬となりますから」


「ですので2人はその位置に立ってもらいます」


「くれぐれも不敬はよして下さい」


 そして指示した天使達は父様と俺が立つ位置から少し距離をとる。


 またも心を読まれたけどそれは不敬とならない為との配慮から。前回もこの天使達から「不敬よ」と注意されたし、俺は相当不敬なんだろう。

 3名の天使がアシュレイ姉様の『神通力の他心通』のように、心を読める理由は「人間より上位であるから」や「この空間の効果」などいくつか想像出来る。


 でも離れた位置からわざわざ理由を話す気はないようで、ジークハイル神から言葉がかかるまで皆静かにして待った。




「待っていたぞリートモルガンにジークエンスリート」


 父様と俺が位置に立ち天使達が整列して、心を落ち着けて言葉を待っているとすぐ。

 頭上より響いた厳かな男声、ジークハイル神の言葉を聞く。


「ジークエンスの成人を祝おう、我の祝福を受ける人間。生まれる以前よりその自覚を持つ。過去の一生と来る魔性に対抗し死なぬ事だ」


「ーー分かりました」


 神様の言葉ってのは言葉足らずなのか知らないけど、半分くらい何言ってるか分からない。

 でも聞き返すと『生まれる以前よりその自覚を持つ』話題で俺が転生者だと父にバレてしまうかもしれないから、聞き返さずに深く考えないことにする。


 しかし『来る魔性』は中々危険なワードだ、この前は「その命を粗末にせぬ事」と言われたのでそれと並行して考えていきたい。


 そしてこれで神様からの言葉は終わり。含みを持たせた言葉を使って何か説いていたようなので、何か深く考えてしまう。

 我の祝福を受ける人間。過去の一生に対抗して死ぬなどよく分からない語句だけど、話の続きは語られないので分からない。後は天使に聞くことにしよう。

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