1-16.「今日から始める」
ガーベラ王女とベルベット王女が帰った後。
もう今日の予定は無かったので、そのまま夕食前まで昼寝をする。
そして、起きたら着替えてそのまま夕食を食べに向かう。
食卓の部屋の扉が開かれて部屋に入ると、部屋には兄弟全員が揃っており、俺と父と母を待っていたみたいだった。
「今日は、父上も母上も別で食事をとるとの事だ。なので私たちだけで食事をとる」
モナーク兄の説明の通り、兄弟4人に食事が運ばれてくる。
ちゃんと料理は美味しかった。
「モナーク兄さま、ベルベット王女との話を聞きたいですわ」
「朝の約束か?」
「はい。聞きたいです」
「……そうだな。予定の、中庭を見せることは出来たな」
食後、アシュレイ姉がモナーク兄に今日の話を聞く。
俺は、あまり会話がなかったからか、1度昼寝をしたからか分からないけど、なにを話したか、もう覚えていない。
あ、特になにも話してないんだったっけ。
「アシュレイは、『相手に宝石を渡す』ことが何か分かるか?」
「いえ、兄さまが分からないことは、私には分からないですわ」
「兄さま、イルシックス王国では結婚前に、宝石を贈り合うみたいですよ?」
「そうか。ハルトはそれはなにで知った?」
「えぇ……確か、前に城に来た探索者から聞きました」
「そうか。『結婚の前に贈り合う』のか」
何故か、俺の兄たちは宝石について詳しかった。
兄たちの会話を聞きつつ、俺もちびちびと紅茶を飲む。
そして、モナーク兄の『美味しかった』という食事終了の言葉で食事を終え、部屋に戻って、そのまま寝た。
◇
翌朝。
目を覚ますと、ベットの隣の椅子には、いつもの通り婆やが座っている。
婆やの挨拶に返したあとに、今日もメイドと執事に着替えさせられて、そのまま食卓で食事をとる。
「今日からジークも、剣技を学べるな」
「あら、ジークは今日から魔法も始めますよ。 お兄さまも仰いましたけれど、ジークは頭がいい子ですから。将来が楽しみですわ」
食後に、ハルト兄がとアシュレイ姉が話しかけてくれる。
なんでも俺は今日から、剣と魔法を始めるらしい。
楽しみだけど、1日で2つのことを始めるなんて、疲れそうだ。