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3-71.「建国記を語る(7)【そのあと】」

 捲られたページは70ページ程で所要時間は前世感覚で30分程度。

 かかった時間からして父様の話は、本の内容をかなり要約して伝えてくれたのだろう。



「『その後ウロク達の居住区へ向かったフラムガル王は、3人から称賛の言葉を貰った後にミラとノーレイを連れて故郷の一団を探す旅へ出た。

 

 「ミラとノーレイの2人にこのまま日も滅多に当たらない場所に暮らさせる訳にはいかない」と、そうウロクに涙を流しながら送り出された。

 しかし2人はまだ成人を迎える前の体力のない子供。途中何度も休憩を取って時間を消費し、日光に慣れていないから光を避けていたら更に時間が過ぎた。

 だからか崖下に落ちてから日数はそれほど経っていないはずだったのに、一団の元に戻るのに3日かかってしまった。


 そして一団と合流したウロクは事の顛末全てを、ミラとノーレイと共に一団の皆に説明した。

 崩れた崖の下で命を救われ、その人物に治療と魔法という未知の力の習得させてもらい、ジークハイル神と会い契約をしたこと。


 誰もがモナークがジークハイル神に会ったと言うと驚いたが、日頃から厚い信仰心を持つモナークの姿を知っている皆はその言葉を疑わなかった。

 その後見せた『天の翼』の神秘的な姿の後押しもあったのだろう。一団はモナークが授かった権能を基に、王国の建国を含む契約に達成を目指したのであった。』



 その後今と比べれば小さな領土ながら、世界初の王国が現在の旧都近くに建てられた。

 モナーク・フラムガルを王とする王国に賛同した、幾つかの街や村の住人と一団だけの国は少しずつ大きくなってゆく。


 他神を信仰する者達との衝突や、広大になっていく領土の管理にノーレイの提案した貴族制の制定など、それまで狩りで暮らしてきたフラムガル王には慣れない机仕事が続き、ハミニス様との息子レーゼンに王位を継承させたのはレーゼンが30代の頃。


 初代宮廷魔導師として魔法の普及を目指したあのミラとノーレイの教育により、レーゼンは幼い頃から魔法を巧みに操る青年となっていた。

 そしてフラムガル王とハミニス様の娘にしてレーゼンの妹『リッカ』は、彼女の父が一団と合流して22日目に生まれた子供で、

 ミラとノーレイを師事して共に、魔法ではない力『魔術』の開発に尽力した。


 記述にされているフラムガル王の子はレーゼンとリッカの2人のみ。


 そしてフラムガル王がジークハイル神と話したほんの短い時間。

 その間に結んだ【契約】と、その後フラムガル王が王政を行なった頃に結ばれた【盟約】のうち『王は家名を残さず、先代の名前を家名とせよ』は盟約であった。


 この盟約により名前をレーゼン・モナークとした2代目国王の治世へと続いていった」



 父様は『話はこれで終わり』と宣言するかの如く、一部音読していた本を閉じ元の木箱に戻す。


 あの本には読まれていないページが半分以上残されていたけど、今回はそれ以上を話しさないという事なんだろう。

 あ又は、後半以降の内容は覚えていたから自身の言葉でまとめて話した。とかかな?


 まあ、ともかく話は終了したようだ。

 ジークエンス・リートこと俺は、話を聞き入るために曲げていた背中を伸ばして作業する父の話の続きを待つ。


 しかし恐らく先程のような話はもうおしまいだろう、何故なら左側に積まれていた本の山はもはや一冊もないから。

 今チラッと確認した時間だともう直ぐ正午、朝食後直ぐから話に付き合ってこの時間だ。数冊語るだけでかなりの時間を食ったなあ。


 父様は建国記が収められた木箱を本棚の専用の位置に戻して、席に着いた。


「お前達に使用した王権の時間はここまでとする」


 父は俺の背後に並ぶローザ達メイド、執事、騎士達ににかけていた王権を解いた。

 どうやらこれで本当に父様の話は終わりのようだ。

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