1-14.「ガーベラ王女との出逢い」
白い階段を下りて、王とモナーク兄の元へと向かう。
「陛下、ジークエンス殿下が参られました」
「来たか」
「おお、ジーク。やっと来たか」
「はい」
王とモナーク兄は、近くにいた使用人のメイドから俺がきたのを知る。
2人とも俺のことを待っていたみたいだ。
「陛下。先程、イルシックス王国の王女殿下が屋敷を出られたと」
「分かった」
城から小走りしてきた執事が、王にそう告げる。
今日は『イルシックス王国』から、俺とモナーク兄の許嫁が来る日。
隣でソワソワしているモナーク兄と同じく、俺も楽しみだ。
「ジークエンス、王家の礼儀作法を教える前に、他国の姫と合わすのはどうかと思ったが、向こうも3歳の子供ということだ。作法はモナークの真似をしておけ」
「はい」
「モナーク、イルシックスの姫にも数人護衛がある。まだ、他国の姫だということを忘れぬように」
「はい」
父の指示を聞き、許嫁を待っている。
そして、『屋敷を出発した』と報告した執事が来てから数分後。2匹の馬が客席を引いている馬車が見えた。
3台の馬車が城に向かって進み、門の前で止まる。
客席は箱のようになっており、外からは中の様子が見れない。
門の扉が開かれて、2台目の馬車以外の2台は裏手へ回っていく。
御者の横にいる執事服が扉を開け、中から男女の大人と、ドレス服を着た2人の女の子が降りてきた。
背が高い方がモナーク兄の許嫁で、小さい方が俺の許嫁か。
そして、降りてきた背の高い方の女の子が、俺たち3人に向かって、ドレスを摘んで礼をする。
あ それを見た背の小さい方の女の子も姉にならって、ドレスを摘んで礼をする。
「今日お招きいただきました。ベルベット・イルシックスともうします」
「ガーベラ・イルシックスと、もうします」
ガーベラと名乗った女の子が俺の許嫁みたいだ。
白い肌に赤い瞳。黒髪に赤みが入った髪を背中まで伸ばしていて、それが彼女の白い肌に合っていて、すごく可愛い。
赤を基調にしたドレスもよく似合っている。
「御招き頂きました。私は ダエーワ・キラ・オリンポス公爵と申します。我が国の王女殿下の同行の為に参りました」
「よく来てくれた。歓迎しようベルベット王女、ガーベラ王女、オリンポス公爵」
王女と一緒にいた男も俺たちに挨拶する。
公爵の見た目は、王よりも歳をとっていて老成した男という感じだ。
貴族の中でも偉い方だったはずの公爵が一緒に同行とは、凄いな。分からないけども。
「私は公爵と話がある。モナークとジークエンスは、ベルベット王女とガーベラ王女と一緒に城に入れ」
「はい。ジークエンスはガーベラ王女の手を。ではベルベット王女殿下、中に」
「分かりました、殿下」
王が俺と兄にそう命令し、俺はガーベラ王女の元へ。
「ガーベラ王女、お手を。私と行きましょう」
「は、はひ」
俺はモナーク兄の後に続いて、ガーベラ王女の手を取りながら歩く。
俺もガーベラ王女も緊張している。
この世界のことをよく分からないから、なにを喋っていいか分からない。でも、彼女とはなにか話してみたいな。