3-61.「王族を守護する弓兵(2)」
弓兵についての話はまだ続く様だ。
「弓兵は歴代の王族を守り続けてきたと言われている。長期間存在し続けているが弓兵は人間であり、適宜戦闘を行える様になっており発動すれば弓矢だけで王城を守護を始める。魔人騒動の時はそうだったと聞いている」
「分かりました」
そんなに強いなら悪魔ダエーワ戦の時にも出てきてほしかった。
なんて思ったりするけど、あの時はら発動条件『王室で王権発動』を満たせなかったのだろう。みんな眠っていたしね。
あの時は夜中でみんな寝てたし、目を覚ましたセシリア母様と姉様と俺の寝床には魔法耐性があったから『眠らせる』敵の攻撃が効かなかったと予想する。
俺がうっかり寝てしまっていたアシュレイ姉様の魔法研究の部屋にも勿論魔法耐性はあるし、なんなら王族の寝室には必ず魔法耐性がかかっている。みんな熟睡だったな。
あの時の俺はサーシャを始め側近の女性達を全員起こして、妹のリズを守護させる様に言って部屋を出た。
あの時の行動は今考えても素晴らしい。
心の内で自画自賛しています内に、父は本を読み進めていた。
父は古い本が傷つかぬよう一枚一枚めくり、ある一ページで手を止める。
そして左から右のページの文字の黙読を終えると本を閉じ、再度話し始める。
「王族を守護する事にその容姿と戦闘方法。弓兵についてこれ以上詳しい説明はない、弓兵の過去についても話すべきではない」
弓兵についてはこれで以上のようだ。
成人記念だけど結構情報が少ない。ーーいや、弓兵の話なんて限られた人しか知る事の出来ない新情報だろう。
弓兵の戦いぶりは見てみたいし少し戦ってみたいとも思ったけど、それは俺が悪の手先にならないと不可能そうな難題だ。
そしてかなり緩いと思ってた王城の防衛事情も対策難航の悪魔以外。
主に他国の敵は王都が内陸部に位置する特徴と、王権と単純な国力でカバー出来るだろう。
悪魔対策については俺が結んだ契約がある。
更に究極を言えば、魔人を射倒した最強の兵士こと弓兵が居るんだ。
俺が一兵士として戦う事はないが、これから俺がひとりの息子。弟。兄として家族を守る事は難しくなる。
それぞれ騎士も居るけど守護対象の主人より弱い騎士はをアテにするのは無理だ。
それまで俺がいた『王城にジークエンスが居た』という穴は大きいと思うけど国防問題にはならない。
国王絶賛の弓兵が王城で王族を守護し続けるから。
「話を続ける。今まではお前の兄と姉にも話した内容だが、この話はつい先日発覚したものでありお前達に大きく関係する話だ」
唐突だけど俺だけに伝えられるの情報とはなんだろう。
弓兵の事が書かれている古い本を閉じて、父は右に積まれているのとは別にして丁寧にテーブルの上に置いた。
そして自身の左側にある本を一冊手に取って開く。
その本は他の本と比べても際立って新しい。
「セレスティア家の話だ」
セレスティア家とはサーシャとミゲルの実家だ。
父は近頃最も怪しい貴族家の話を始める。