3-58.「フラムガルルーツ侯爵領ーー説明終了」
3日後より俺の領地ことフラムガルルーツ侯爵領。
現在は暫定的にアテン・ザ・ミステルなんて呼ばれている。
「お前の領地はエンヴォーク伯爵に任せてある。お前の到着後よりその役職はお前に引き継がれるが、エンヴォーク伯爵には以後フラムガルルーツ侯爵領を治めるお前の補佐に回らせる」
「はい」
今まで暇さえあれば資料を読み耽っていた俺だが、3年の時間ロスを帳消しには出来ない。
なのでギヴァー・エンヴォーク伯爵には会った事はないけど結構頼もしいのだ。
すると父は別の書物の空白が多い地図のページを開き話す。
「この領土には魔人騒動の一件により荒地になった土地が多く、迷宮都市などほんの一部に過ぎない。
エンヴォーク伯爵に復興を進めるよう命じているからそれを第一に進めなさい」
「分かりました」
書物に書かれた地図の書き込みが少ない。
その理由はそこら一帯に荒野が広がっているからだ。
父は本のページをめくる。
「『ライル・ミエル・ハウンズ』ハウンズの地、ハウンズの都と呼ばれる都市に建つ城がお前達の住む城だ」
今は騎士やメイドを配置しているだけで誰も住んでいない。
という、古びていたら幽霊城認定確定だっただろう情報を逆さ方向から読む。
父は開いていた本を閉じ自身の左側に本を積む。
もう領地の話はおしまいかな?
「そしてハウンズの都と迷宮都市間の距離は時間をかけると馬車で1日かかる。1日だけの休暇を、迷宮都市で過ごそうという考えは実現しないと覚えておきなさい」
「はい」
密かな希望は儚く散った。
片道多く見積もって1日かかる=2日間休暇があっても迷宮で過ごせない。という事だ。
領主がそう簡単に3日以上の休暇をゲット出来るとは思わない。
もっと機会はあるかもしれないけど今のところ、赴任する前といつ起きるか分からない迷宮都市の一大事くらいしか迷宮都市に行けるチャンスがない。
いや、仕事でならあるかもしれないけど。
父は自身の左側に積まれた本を一冊取って、その本を開きながら話を続ける。
「なのでお前は、モナークとハイルハルトの領地から戻る際に迷宮都市を視察しなさい」
「分かりました」
父の配慮だろう。
そうでなくても迷宮都市は国内でもかなりの重要な役割を持つから、領主として知っておいて損はない。というか知っておくべきだね!
もう俺の領地についての説明は終わりだろう。
本物のページをめくった父は一瞬。俺の背後に一列に並ぶメイド達を見やり、話し始める。
「今からは国防の話だ、なのでお前も含め再度王権を行使するーーリート・モルガンが代行する。今から話す話の一切を外部にもらすな」
勿論情報を外部に漏らしたりはしない。
元々悪魔達に対する防衛網がザルな国だ、これ以上の穴の拡大は防ぎたい。
というか、なんであんなに悪魔がこの国にしかも王都の王城に侵入出来たんだろう? これまでは行うべき人達に任せていたけど、今この瞬間からは俺も力にならないとね!